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2016年8月16日 (火)

「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」:本年有数の上質作品

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映画『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』は、脚本家ダルトン・トランボへのハリウッドの迫害を通して赤狩りの時代を描きながら、最終的には自由や人としての信念や家族愛をあぶり出す力作。社会派としてのメッセージを持ちつつも、娯楽映画として高いクォリティを持っていることに感心してしまいます。逆に言えば、娯楽映画としての質が高いがゆえに、作品のメッセージ性も観る者に無理なく届くのです。

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それにしても、『ザ・フロント』『真実の瞬間(とき)』『グッドナイト&グッドラック』、そして本作と、忘れ去ることなく「赤狩り」告発映画を作り続けるハリウッドって、なんだかんだ言って懐が深いと思います(まあ時にはコーエン兄弟の『ヘイル、シーザー!』みたいなわかのわからん作品もできちゃいますけど)。やはり、ものを表現する人間としては忘れてはいけない、歴史上の大きな過誤ですからね。

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とにかく役者たちの芝居合戦になっていて、それぞれに味わい深い演技を見せてくれます。ブライアン・クランストンのトランボが主演男優賞ものの素晴らしさなのは言うまでもなく、奥さん役のダイアン・レインがさりげなくも味のある芝居で魅せてくれます。彼女ここのところ『マン・オブ・スティール』と本作とで、遂に名(助演)女優になりました。 そして、常に出演作の価値を1~2割は高めてくれるジョン・グッドマン。彼もここに来て、『10 クローバーフィールド・レーン』と本作とで、これまで以上の名優へとステップアップした感があります。 ヘッダ・ホッパーを演じるヘレン・ミレンの憎々しさも、さすがとしか言いようがありませんね。355329_006

トランボが復権を果たしていく終盤は、やはりハリウッド的な娯楽映画の作りが上出来で、感動できます。 これまで『オースティン・パワーズ』とか『ミート・ザ・ペアレンツ』なんかを作っていたジェイ・ローチ監督が突然こんな傑作をものにしたことに、正直驚きました。まあ、それほど「脚本が大事」ってことの証みたいなものですけどね(本作はTV畑出身のジョン・マクナマラが書いた初の映画脚本)。

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