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2016年9月23日 (金)

「レッドタートル ある島の物語」:ミニマムでシンプルだけど・・・

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映画『レッドタートル ある島の物語』は、オランダ人の短編アニメーション監督による初の長編作品にしてスタジオジブリ作品。 なかなかの渋さです。

とにかくセリフ一切なし。数度の叫びのみ。自然を彩る音はあるのですが、基本的に静かな作品です。サイレント映画のようです。登場人物も(あえて申しませんが)極めて少なく、いろんなものがミニマムです。

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そう、ミニマムと言える段階まで、いろんな物事を削ぎ落としてあるので、シンプルです。 でもそういう引き算の美学で作られたこの作品が、日本流のわびさびを生んでいるかというと、実のところそうでもありません。あくまでもヨーロッパ的感性の中でのシンプル・ライフ・・・。

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線画的なキャラクターをはじめ、映像は素朴です。色もかなり渋めの場面が多いのですが、太陽に照らされた青い海は、まさに水色で(少しグリーンがかることも多くて)、その澄んだ水の表現が素敵でした。

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(以降ネタバレあり) ただ、どうしても引っかかってしまうのがこのラスト。これじゃあ、あまりにも救いがないんじゃないでしょうか? 少なくとも小生の尺度からすると、砂を噛むように苦く虚しい終わり方だと思いました。たとえ幻想であっても、幸福な奇跡や、一条の希望の光みたいなものが欲しいと、大江戸は思うのです。

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