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2016年9月18日 (日)

「怒り」:高密度重量級力作

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映画『怒り』は、本年度ベストテン上位を争うであろうヘヴィーな力作。2時間22分が4時間ほどにも感じられる密度の濃さで、圧倒されます。

3つの物語が互い違いに語られて進行します。観ている者としては、この3つの物語とそれぞれの登場人物がどういう形で結びついていくのだろうかと考えるのですが・・・。

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(以降ネタバレあり) ところがなかなか交わらないのです。そして、後半で佳境に突入した時に、「もしかして、時間軸をずらしてあって、あの人とあの人とこの人って、ひょっとして同一人物なの??」という衝撃の誤解を誘うようなミスリード演出もあって、勝手にドキドキしちゃったのですが、そうではありませんでした。それだと映画の語り口やトリックだけの問題になってしまいますが、本作はそれよりも深く重く、現代と、人間と、対峙していきます。その硬質な重量感は、まさに李相日監督作品です。

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役者たちがいくら褒めても良いぐらい、みんな凄過ぎます。中でも宮﨑あおいの、ちょっとバカっぽく演じた感じと、あの慟哭には感嘆を禁じ得ません。30代前半の部では、満島ひかりと並んで一番の名女優であると再確認しました。本作の撮影のために体重を7kg増やしたってことでしたけど、そんなに太ってるようには見えませんでした(まあ、もっさりした空気感をまとったというところでしょう)。

そして、「あれ? 出てたんだ?」って感じに現れた高畑充希にも瞠目させられました。そして『とと姉ちゃん』を見てるうちに忘れかけていた、彼女はとんでもなく演技がうまい人だっていう事実を思い出したのでありました。

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役者の力、演出(&脚本)の力に加えて、撮影(笠松則通)も素晴らしいですね。特に、あの沖縄の海と空の色! そして坂本龍一の(らしい、そして素晴らしい)音楽! 更には、犯人の手配写真やビデオ画像を造ったスタッフの技(微妙に、あの人にもあの人にも見える)にも拍手です。

『シン・ゴジラ』『君の名は。』同様、市川南プロデューサーの名前が。というより、『君の名は。』同様に川村元気プロデューサーがキーとなっているのでしょう。ノッている方々です。興行成績のみならず、作品クォリティの高さが嬉しいではありませんか(川村氏が原作も務めた『世界から猫が消えたなら』に関しては、ちょっとアレでしたが・・・)。

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