「92歳のパリジェンヌ」:高齢者は一人で観ましょう
映画『92歳のパリジェンヌ』を試写会で観ました。ほとんど前情報を入れなかったので、エンドタイトル前に字幕が出て初めてこれが実話だと知りました。いやー、驚き。でもこの作品、邦題があまりにもオシャレで、軽く楽し気な感じなので、お年寄りが連れ立って観に行ったり、おばあちゃんとお嫁さんが一緒に観たりすると、かなり気まずいのではと心配になってしまいます。終映後の試写会場の人々も、微妙な雰囲気でしたし・・・。 ポスターやチラシに出ているオシャレなエッフェル塔などは、ついぞ出てまいりません。 ちなみに原題は“The Last Lesson”にあたるフランス語です。
(以降ネタバレあり) 冒頭で、おばあちゃんが自分は2か月後に死ぬと宣言しちゃうんですけど、それからの家族のすったもんだが実に物語的(ドラマティカル)に展開していきます。実話だったとはねえ(もちろん映画だから、脚色・演出してありますが)。おばあちゃんをはじめ、各キャラクターの魅力、面白さで見せていきます。
大江戸は尊厳死、安楽死に関しては肯定論者なので、「おお、そうだ。信念をもって、やったれやったれ」って感じでした。でも映画の終盤などは、かなりシリアス。涙をふく観客も結構いましたが、確かに身内にしてみれば「待っている」時間というのは相当ハードであるに違いありません。知らせずに遂行すべきでしょうね。
「自分らしく生きる」ということは、「自分らしく死ぬ」ということでもあります、というか、ありたい。そういった意味では「自由」を愛して止まないフランス人らしい、逆説的人生讃歌と言うことができるでしょう。
ついでながら、薄暗い廊下のショットや夢の中の墓場のショットなどを見て、「この監督はホラーの資質がある!」と思いました。観てみたいなー。
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