「何者」:ライトウェイトな毒気
映画『何者』は、『就職戦線異常なし』(91)以来久々の就活映画。あちらがバブル末期の空気をまとっていたのに対して、こちらは生まれた時からずっと不景気だった方々の物語だけに、停滞感が漂っています。
そもそも監督が三浦大輔(「ハマの番長」ではなくて、『ボーイズ・オン・ザ・ラン』や『愛の渦』の人です)なので、一筋縄ではいきません。
この監督らしい毒気がずっと少しずつ滲み出しているのですが、終盤に至ってかなり強烈に噴出させてくれます。だけど真っ黒にならず、感覚的にはライトウェイトな毒ってあたり、いかにも今日的ではありませんか。 まあ、SNSの持つ「毒」にスポットを当てているのが、ライトウェイトってことにつながっているのかもしれませんね。全てが希薄な時代。諦念の漂う時代。
現代の就活あるあるだったりするのでしょうが、なんか日本の就職事情って、ますますもって歪(いびつ)ですよね。そこを上手に勝ち抜くことが出来たとして、それで約束されるものは何もありません。しかも、自分で自分が何者であるかをわかっていない段階で自分を売り込まなくてはならないのですから、大変です。まあ自分が何者であるかってのは、一生かかってやっとわかるものだと大江戸は思っていますけどね。
若手の良い俳優たちが揃い踏みですが、岡田将生の「何様」ぶりが(いつもの彼とは違った感じで)面白かったです。あの上から目線! 高等遊民ですか? アナザーまさき=菅田将暉は、バンドの演奏シーンがなかなかで、歌でもやっていけそうな感じじゃないですかー。
そして、またも川村元気ですー。仕事してるなあ・・・。
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