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2016年10月16日 (日)

「ある天文学者の恋文」:語り口のテクニック

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映画『ある天文学者の恋文』は、ジュゼッペ・トルナトーレらしい「語りのテクニック」を追究した作品。本当にこの人、年を取るほどに「物語の語り口」命になっていくような気がいたします。脚本・演出を含めた、語りの意外性や鮮やかさこそが、映画を撮る目的になっているようなところを感じるのです。

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でも今回は強烈にミステリアスな謎を序盤から突き付けておきながら、けっこう予想通りにしか進まないというか、むしろ普通の物語にパワーダウンしていくので、ちょっと残念。後半がかなり間延びした印象になっているのです。癖のある食材なんだから、もっと手際よく調理しないと・・・。まあ監督と脚本を同じ人がやると、たっぷり撮っちゃって、シーンも切らないので、概してテンポが悪くなることが多いのですけどね。

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今年68歳のジェレミー・アイアンズ、(特に冒頭あたり)まだまだ渋カッコイイっす。体型も変わらないし。 彼の娘役の女優さんも、娘だと聞いて素直に納得できるような顔だちの方。外国映画は、こういう配役がいちいち納得できますよねー。日本映画の場合、似ても似つかない親子とか兄弟姉妹とかが、むしろ大多数なのですけど。

オルガ・キュリレンコは博士を目指す女子学生の顔と、危険なアクションに挑むスタント・ウーマンの顔を演じ分け、更には愛情、不安、絶望、焦燥、混乱、悲しみ、怒り、喜びなど様々な感情を表現して、主演にふさわしい「押し」を獲得していました。

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PC、スマートフォン、スカイプなど現代のIT技術を駆使しながら、そこに描かれるのは古典中の古典ともいうべきロマンティック過ぎる純愛。 まあ色々と都合良すぎる眉唾描写もあったりしますけど、むしろヘタすると珍作になりかねないところを、トルナトーレの技で「ちょっといい話」のゾーンにきっちり落とし込んだってところではないでしょうか。

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