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2016年10月30日 (日)

「淵に立つ」:静かにさりげなく

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映画『淵に立つ』、こわいですねー。観念的ホラーとでも言えそうです。なんか静かに嫌な所を突いて来るというか、真綿で首を絞める、しかも時々ギュッと絞める感じで・・・。カンヌの「ある視点」部門の審査員賞は伊達じゃありません。

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そもそも浅野忠信の登場シーンのミディアム・ショットからして、異様な感触を伴っています。白い服の浅野が立っているだけなのですが、そう、『羊たちの沈黙』におけるハンニバル・レクターの登場シーンのように、その立っているだけの怖さがハンパないのです。 彼に関しては、その後も河原での古館寛治に対する豹変シーンなどが怖かったですねー(朝メシ食うのも速かったし)。そして、歩きながら白ツナギの上半身を脱ぐと真っ赤なTシャツという場面は、あたかも『シン・ゴジラ』で形態を変えて進化していくゴジラのようでした。

357029_003筒井真理子さんも、8年の経過がしっかりわかる変容など、行き届いた芝居と役作りでした。古館寛治は、まあ、これぐらいは演じられちゃう人ですよね。深田晃司監督作品だと、特に良いです。

全編を通じて、何気ないショットに不穏な空気が溢れています。そしてショッキングなショットは、きわめてさりげなく提示されます。そこらが深田晃司の作家性でしょうか。小生が大好きな『ほとりの朔子』とは全く方向性が違いますが、見事に高いレベルの作品を作りましたね。

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『四月は君の噓』、『聲の形』に次いで、本作にも橋から女性が飛び降りるシーンがあります(その他に、防波堤から飛び降りる『少女』もありました)。この秋、日本映画で大流行中(?)です。

(以降ネタバレあり) ラストで古館寛治が瀕死の3人に人工呼吸を施す順番に、彼の心理が現れていてスリリングでした。最後まで残した娘を結局は救うという決心。迷いながらも、その人生を引き受けようとする覚悟。それが静かにさりげなく提示されることにおいて、本作にふさわしいエンディングでした。

とにかくドラマの密度が濃く、容赦がなく、視線はあくまでも冷ややかです。重いです。でも心を鷲掴みにするものがありますし、深田晃司の作家性は貴重です。今後にますます期待が持てますね。

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» 淵に立つ [映画的・絵画的・音楽的]
 『淵に立つ』を渋谷シネパレスで見ました。 (1)浅野忠信が出演するというので、映画館に行ってきました。  本作(注1)の冒頭では、少女・蛍(篠川桃音)がオルガンを弾いています。しばらくすると、オルガンの上に置かれているメトロノームを動かして弾きます。  ...... [続きを読む]

受信: 2016年10月31日 (月) 05時52分

» 淵に立つ〜絶壁と潔癖の間 [佐藤秀の徒然幻視録]
公式サイト。日本=フランス、英題:Harmonium。カンヌ国際映画祭ある視点部門審査員賞受賞作。深田晃司監督。浅野忠信、古舘寛治、筒井真理子、太賀、三浦貴大、篠川桃音、真広佳奈。 ... [続きを読む]

受信: 2016年10月31日 (月) 07時27分

» ショートレビュー「淵に立つ・・・・・評価額1650円」 [ノラネコの呑んで観るシネマ]
とある家族の罪と罰。 
ある意味日本のハネケ、まことにおそろしい映画である。 古舘寛治と筒井真理子が演じる利雄と彰恵は、ほとんど二人だけで回しているような、小さな町工場を経営している夫婦。 二人には、エレクトーンを習っている10歳の一人娘・蛍がいる。
 両親と娘一人がつつましく暮らすごく平凡な家族に、ある日異分子が侵入する。 
父親と因縁があるらしい、その男の介入によって、家族...... [続きを読む]

受信: 2016年11月 5日 (土) 22時30分

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