「築地ワンダーランド」:人と魚と仕事と築地

映画『築地ワンダーランド』は、築地市場のすぐそばに本社を構える松竹が贈るドキュメンタリー。移転問題の大混乱ではからずも延命している築地ですが、本来ならフェアウェル公開となったところ。いずれにしても、この築地市場の最晩年をフィルムに残しておくということにおいて、貴重で意義深い作品を作りました。
とにかく築地市場に関わる人たちを網羅しました。市場長から、仲卸、卸、料理人、魚屋、研究者、司書、学校給食関係者などなど。 築地市場という巨大な存在を、あくまでも人間一人一人を通して描こうとする姿勢は、正解でした。人間の仕事へのこだわりや矜持が、プロの誇りが、観る者に迫ります。こちらの背筋も伸びて来ます。
魚一筋の男たちがまた、いい顔してるんだ。そして彼らの言葉も、かなり知的で、本物の言葉で、良いのですよ。
築地市場のあれやこれやを追ったキャメラも、変に主張し過ぎずに対象をしっかり捉える作業に徹していて、でも魅力的な絵で、とても良い仕事だと思います。
そして、山本益弘さん、やっぱりいいこと言いますねえ。
観終わると、絶対に魚を食べたくなる映画です。実際、ユーロスペースで観た後に、渋谷にある「築地仲卸直送」の海鮮居酒屋に行ってしまいました。
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