「闇金ウシジマくん ザ・ファイナル」:ゲスなパワーと面白さがダウン
映画『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』は、映画第4弾にして最終章。スタイル的にも、これまでで最もハードです。ただ、それによってゲスで猥雑で下品なまでのパワーと面白さが、減じてしまったのではないでしょうか。ユーモアも少ないし。そこらへん、大江戸的には遺憾であります。
今回は貧困ビジネスっていうか、地獄のタコ部屋みたいなエピソードが柱。そこに、ウシジマの中学生時代のエピソードが回想としてからんでくるのですが、ウシジマという人物の種明かしをしちゃうみたいで、それもありきたりな設定なので、「こんなのいらない」感がにじんできます。サブ・エピソードである八嶋智人の悪徳弁護士も小物過ぎてねえ・・・。
そもそも凶悪な鰐戸三兄弟がやってることって、いくら何でも明らかに犯罪過ぎて、何年も続かないだろって感じ。中学(高校?)時代からチェーンソーぶん回して、人の腹の皮切ったりしてて、その時点から完全にアウトですが・・・。
ウシジマに対する竹本君=永山絢斗が、偽善者というよりもあまりにも常人離れしてて、ウザイです。役柄もそうですが、この人『ふがいない僕は空を見た』とか『アンフェア the end』とかTVの『ごめんね青春!』とか『重版出来!』とか何をやってもウザイ気がしてならないのです。スゴイ個性と言えるかもしれません。
(以降ネタバレあり) ラスト・カットのウシジマの横顔:考えて、考えて、考えて・・・の長いこと! 緊張感あふれる沈黙場面があれだけ(もう耐えられないほど)長く続くってのには、『椿三十郎』のラストを想起させられました。しかも『椿』の場合は、ある種のカタルシス(=ショック)があるのですが、本作の場合は微かに動いたところで溶暗というラストです。何を感じるか、その先をどう考えるかは観客に委ねられるのです。最後の最後ぐらいは「映画」らしいことをちょこっとやってみたかったってところかも知れません。
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