「コンカッション」:公開規模が小さ過ぎ!
映画『コンカッション』は、ハリウッド伝統の上出来な告発ドラマでした。ソニー/コロンビア映画作品ですし、リドリー・スコット製作でウィル・スミス、アレック・ボールドウィン主演ですし、世が世ならかなりの話題作たり得たはずです。ところが公開規模が異常に小さくて、東京地区では第1週は角川シネマ新宿のみで、1日1回のみの上映。2週目に池袋HUMAXシネマズのレイトショーが加わり、角川新宿も1日2回の上映になったもののそこまでで終了。3週目以降は池袋HUMAXのレイトのみです。洋画ドラマ不振の時代の象徴のようです。それともNFLから手が回ったのか・・・(まさか)。
(以降多少ネタバレあり) 実話に基づく物語ですが、確かにこのタブーを相手にするのは大変なことです。アメリカ人の「聖域」に真っ向から切り込むわけですから、普通無事ではすみません。あらゆる手を使ってつぶされますし、警察からFBIからマスコミからあらゆる所にいるフットボール・ファンが攻撃してくることでしょう。大江戸だって、サッカーでヘディング禁止だなんて言ってくる輩がいたら、ムムムと思ってしまいますもん(でも当然ヘディングも少なからずこれに近い危険性があるわけですよね)。
ただ「大きな組織の横暴に立ち向かう個人」の(正義の)物語が好きな小生としては、主人公の勇気とこの映画を支持したいです。そしてハリウッド・メジャーでこの作品を作った関係者の勇気にも敬意を表したいと思います。だからこんな「DVDスルーにしないためだけの公開」じゃなくて、ちゃんとした規模で公開して多くの人に観てもらいたかったと思うのです。悔しいです。
本作中でもタバコと健康被害の問題が例示されますが、確かにこのリスクを知っていて、「でも大金を稼ぎたい」ということでやる分には自己責任(ボクシングのように)かも知れません。まずは真実を、科学を表に出すこと--それが主人公たちの戦いでした。
ナイジェリア人に扮したウィル・スミスも静かに説得力がある演技ですが、本作では共演者を輝かせる達人=アレック・ボールドウィンが(役柄の良さもあって)素晴らしいです。物語においても、この人の存在で主人公がどれだけ助けられたことか(一人ではきっと無理だったことでしょう)。
それでもNFLはルールを変えるでもなく、今まで通り続いています。ま、大衆にとって「ローラーボール」みたいなものなんでしょうね。
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