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2016年11月17日 (木)

「湯を沸かすほどの熱い愛」:脚本の技量・演出の力量・演技の熱量

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 映画『湯を沸かすほどの熱い愛』には感動しました。泣けました。死病映画ではあるのですが、いわゆる死病映画のような「泣かせ」ではなく、もっと骨太でもっと上質な情感の揺さぶり方をしてくれて、そのたびに涙腺が決壊するという寸法なのです。商業映画デビューとなった中野量太監督(オリジナル脚本も)、素晴らしい力量です。堂々としています。こういうのを「演出力」と言うのです。もちろん脚本も精緻で、よく練られていると思います。今後にも要注目の監督です。

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映画やドラマでさんざん目にしてきた「末期ガンの話」「いじめられている娘の話」「逃げたダメ夫の話」「連れ子の話」などなどを組み合わせて、とんでもなく新鮮な映画を作っています。一つ一つの表現のコクや、それ以上に役者たちの演技が、この味を出しているのです。それぐらいどの役者も魅力的です。それってやっぱり「演出力」でもありますよね。

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宮沢りえは、相変わらず名女優と呼ぶにふさわしい見事な深みを湛えた芝居です。 そして杉咲花!! 今回の彼女の演技、特に表情は圧巻です。助演女優賞ものだと思います。クックドゥのCMのせいもあり幼く見える彼女(本作では高校生役なんですが、中学生ぐらいに見えます。一方、『とと姉ちゃん』では結婚後まで演じていたのですが)ですが、もう19歳になったのですね。 びっくりです。とにかく観ていて感動を禁じ得ない、魂のこもった演技でした。 あと、探偵役の駿河太郎さん、初めていい役者だと思いました。

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プログラムを買ったら、「想像もつかない驚きのラスト」って書いてありましたが、小生はむしろ想像通りでした。 (以降ややネタバレあり) ああ、煙突からの赤い煙といえば、黒澤明の『天国と地獄』。そして『天国と地獄』にオマージュを捧げた映画版『踊る大捜査線』第1作。まあ、宮沢りえの主人公が赤に彩られた人だったので、マジック・リアリズム的表現として、これもあれもアリって気がしますし、あそこで釜の火にかぶせて本作のメインタイトルが出るのには、何だか「ひえ~っ」と笑ってしまいました。ポジティヴで力強いエンディングです。

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