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2016年12月 9日 (金)

「弁護人」:強度のある正義の物語

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映画『弁護人』は、韓国の盧武鉉(ノ ムヒョン)元大統領の弁護士時代の実話を基にした、正義と勇気の物語。ソン・ガンホのワンマンショーでもあります。

1980年代が舞台ですが、その頃の韓国の時代臭がよく描けているのかどうかは、小生にはわかりません。ただ、多くの役者が明らかにヅラ頭になっているのはわかります。

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韓国では1,100万人を動員する大ヒットとなったそうですが、こういう硬派な社会派ドラマ、正義の物語が広く受け入れられたってのは、かなりうらやましいことです。日本でこういう映画を作っても、かようなヒットというのは望むべくもないと思うのです。韓国って、『トガニ 幼き瞳の告発』とか本作とか、社会性の強い告発映画が結構受け入れられるお国柄のようで、そこらへんは立派だよなあと思うのです。

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ただ、政治性、社会性を抜きにしても単純に面白い映画として成立しています。ジェームズ・スチュアートからトム・ハンクスに至るアメリカン・ヒーローが演じてきた役がソン・ガンホの役柄なのです。 そして「悪役」はとてつもなく悪くてふてぶてしくて、観る者の怒りに火をつけるのです。だからこそ、正義のヒーローが引き立つようにできているのです。主人公が最初から「正義」だったわけではなく、いいかげんな奴が突如目覚めて、めきめきと勇気あるヒーローになっていくあたりも、娯楽映画の典型パターンです。

356510_002かように「通俗」であり、洗練からは遠い作品ですが、通俗ならではの強度があります。そこらも韓国映画らしいところ。ソン・ガンホの好演が更に強度や広がりを増幅させていることは、言うまでもありません。

どの国においても、このような映画は作られ続けていくべきだと思うのです。世の中の理不尽や暴力へのプロテストとして。若い世代への啓蒙のため。そして映画人の熱い魂を示す上でも・・・。

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» 弁護人 [象のロケット]
1970〜80年代、軍事政権下の韓国。 高卒で弁護士になり学歴もコネもなかったソン・ウソクは、不動産登記業務に目をつけ、釜山一の税務弁護士へとのし上がっていく。 生活も安定して来たある日、馴染みの食堂の息子である大学生ジヌが、公安当局に不当逮捕されたことを知る。 誰もが国家保安法違反で捕まった者に関わろうとしない中、ウソクはジヌの弁護を引き受けることに…。 ヒューマンドラマ。... [続きを読む]

受信: 2016年12月10日 (土) 10時50分

» 弁護人 ★★★・5 [パピとママ映画のblog]
後に韓国大統領となった盧武鉉の弁護士時代の実話を映画化した社会派ドラマ。税務弁護士として経済的な成功を手にした主人公が、国家の横暴を目の当たりにして社会正義に目覚め、公安に不当逮捕された若者を救うべく、たった一人で国家に果敢に戦いを挑む姿を描く。主演は「渇き」「スノーピアサー」のソン・ガンホ、共演にキム・ヨンエ、イム・シワン。監督は、これが長編デビューのヤン・ウソク。 あらすじ:高卒ながら猛勉強の末に司法試験に合格し判事となったソン・ウソク。しかし学歴もコネもなく、横行する差別の前に出世の道は閉ざさ... [続きを読む]

受信: 2016年12月14日 (水) 12時35分

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