「エヴォリューション」:変態耽美作家の難解アート・ホラー
映画『エヴォリューション』は、あの耽美的で謎に包まれた『エコール』のルシール・アザリロヴィック監督作品。原題はあのアイヴァン・ライトマン監督の愚作『エボリューション』と同じですが、作品の方向性は真逆です。耽美であり、悪夢であり、「初期のクローネンバーグやリンチを思わせる」という評もごもっともです。
まずはオープニングの海中映像が美しく、そして岩場の異様な光景に心をかき乱されます。ヒトデ・・・。その後は重要な要素である「病院」「手術室」あたりも交えて、全編(といっても81分ですが)が不安と違和感に満ちています。
でも、この監督が公私にわたるギャスパー・ノエのパートナーだと知って、すっかり納得してしまいました。あー、だからかー。なるほどねー、って感じでした。二人とも変態ですもんね。
悪夢の入れ子細工みたいな展開でもあり、何よりも一筋縄ではいかない「難解な」作品なのです。普通にSFやホラーとして十分成立させられる題材なのですが、作者としては当然そこらには興味がないんですよね。
人間は海から生まれ(海の生物が進化し)たってこととか、人間の体の70%が水分であり、地球の70%が海であるってこととかを連想させる作品でもありました。
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