「フィッシュマンの涙」:コントじゃありません
韓国映画『フィッシュマンの涙』は、そのビジュアルからしてトンデモ・コメディにしか見えないのですが、実のところ結構シリアスなので、びっくり。
新薬の治験の副作用で魚人間に突然変異したってことなんですけど、「なんで上半身だけそうなって、下半身は人間のままなの?」っていう疑問は、とりあえず胸にしまっておきましょう。
でもいつもフーデッド・パーカをかぶっている、このコントに登場しそうなフィッシュマン(半魚人?)くんが、無愛想なようでいて、そこはかとない愛嬌があったりもします。見飽きないのです。フィッシュマンのプロモーション・フィルムと言ってもいいかもです。
フィッシュマンの爪がはがれるところは、『ザ・フライ』を連想しました。それにしても、陸で生きる彼はエラ呼吸なんでしょうか(ちゃんとしたエラがあるのです)? 鼻呼吸なんでしょうか?
でも残念なことにこの映画、肝腎の社会性の部分がうまく処理できていないんです。生硬というか、こなれていないんです。 コメディや不条理劇の形を借りて社会の不正や悪を告発するってのは、昔からよくある方法なのですが、不条理コメディとしても社会派ドラマとしてもうまくいっていません。狙いはわかるけど、力足らずな感じなのです。もっと腕のある監督なら、この題材で(この魚男で)もっと泣かせたり感動させたりできるのになあと感じました。
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