「特別展 白洲正子ときもの」@松屋銀座
松屋銀座で本日スタートの『特別展 白洲正子ときもの』を(~1/16)、仕事帰りに観ました。年末から年始にかけて開催される展覧会ってのは、正月になるとやれ福袋だやれクリアランスセールだと一緒になってやたらと混雑するので、「年末のうちに観るべし」というのが鉄則なのです。かなりゆったりと観ることができました。
この会場では、過去にも白洲正子の展覧会や白洲次郎の展覧会を観たことがありますが、今回は正子の「きもの」にフォーカスした展覧会となっています。
白洲正子のきものって、(趣味の能装束を除いては)基本的に普段着中心です。綿や絣や紬などが多く、派手さはありません。いわゆる訪問着的な華やかさとは無縁で、色合いも渋いものばかりです。そこに彼女の精神と心意気が感じられます。そして「用の美」という民芸のコンセプトとも相通じるものがありますね。
そしてそのスピリットは、企画や選品、会場設計にも共通していました。なんか気持ちの良い会場なのです。ここでいろんな展覧会を観ましたが、これだけ細部と質をゆるがせにしないきっちりした造りなのに、それを押し出さずにあくまでも引き立て役に徹している会場というのも久々です(入口の赤と黒だけは主張しておりましたが)。ベージュと黒を基調に、リラックスした落ち着きと凛とした精神性が両立しているのです。所々にあるいけばなやその花器も、変に主張せず抑制していて、この展覧会にぴったり合っていました。
今日びの展覧会にしては珍しく、映像も音響もありませんでした。でも、それこそがふさわしい展覧会なのでした。ただその静けさのため、壁の向こう側のおしゃべりとか雑音が妙に気になることは残念でしたが、お客さんがたくさん入れば自然なノイズが漂うので、その問題はなくなるのでしょうね。
最後のコーナーにある正子さんの丸っこい字がステキでした。何とも言えぬ味わいがあって、見飽きませんでした。 そして白洲次郎の羽織があったのですが、羽裏が虎模様の柄! 確かにあれは、次郎さんあたりじゃないと似合わないでしょうねー。
随所の壁面に記されている正子さんの言葉も、いちいち気が利いているのでありました。
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