「アズミ・ハルコは行方不明」:高畑充希のオニうまさ炸裂
映画『アズミ・ハルコは行方不明』は、昨年の小生のベストワン『私たちのハァハァ』の松居大悟監督の新作ということで大いに期待しておったのですが、うーん、頑張ってるんだけど『ハァハァ』ほどのぶっとんだ新しさ、ナマナマしさは感じなかったですねえ。むしろ日本映画の伝統に忠実な、壊れた社会と若者の鬱屈を描き出す映画となっておりました。
女と男がわかりあえない(ってゆーかひどい男しか出て来ません)、世代間がわかりあえない、家族がわかりあえない・・・ま、そんなディス・コミュニケーションの映画です。主役である二人=蒼井優の春子と高畑充希の愛菜も終盤まで接点がありません。そして、時制はシャッフルされて、いろんな意味で「わかりあえない感」にドライブをかけております。
春子の顔を使ったステンシル・アートがバンクシーばりのグラフィティ・アートとして使われ、SNSで拡散していきます。その絵柄をそのまま使ったポスター等のビジュアルが、なかなかです。上映前に劇場にあったチラシなんか、(4~5色あったと思いますが)ステンシルで作ってあるもんだから、1枚1枚微妙にインクの状態とかが違っておりました。びっくり。
蒼井優のうまさは、まあいつものことですけど、これは結構いつもの蒼井優。先んじて『オーバー・フェンス』を観てしまうと、インパクトでは負けますから。 で、スゲーのは高畑充希。やっぱり映画の高畑はいつ見ても、メッチャうまいです。本作の彼女の、この振り切れたチャラさ!! いやー、『とと姉ちゃん』に慣れてたので、もう目まいがしそうです。ただこれも、天才高畑の幅の広さを示すもの。終盤の叫び声は誰にでも出せる代物ではありませんし、その後の嗚咽は最上級のオニ演技です。これを見られただけでも、大いに価値のある映画と言えるでしょう。
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