「ブラインド・マッサージ」:ラヴ・イズ・ブラインド
映画『ブラインド・マッサージ』は、南京のマッサージ院を舞台に、ほとんど盲人ばかりが登場する作品。基本的には役者が盲人を演じていますが、中には本物の盲人の方が演じている場合もあるそうです。
ロウ・イエ監督の視点としては、決して「かわいそうな人たち」とか「けなげに頑張ってる人たち」みたいな偽善方面には寄りません。あなたや私と同じような「清さも汚さも併せ持った人たち」として、リアリズムで描いていきます。テクニックとしては、フォーカスワークや画像の後処理を用いて(たぶん)、ボケボケだったり暗かったりする盲人ビューの映像を見せてくれます。
盲人たちの愛と性の問題をかなりナマナマしく描き出します。でもこれは、一つ所に集められた男女の集団を描いているだけって感覚なので、これが学校であっても、シェアハウスであっても、老人ホームであっても成り立つ話だっていう気もいたします。いずれにしてもナマな感情がいたる所で沸騰して、ヒリヒリしているのです。 (以降ネタバレあり)メインの人物(男性)が突然見えるようになったあたりの(台詞を用いない)描写なども見事なものです。
かなり痛そうなシーンや、血がドバドバなシーンが出て来ます(気の弱い人は要注意と言いたいぐらいに)。あの血によって、人間の生とか死とかについて投げかけているものがあるんでしょうか? それとも「心が血を流している」ことの暗喩なんでしょうか。ちょっと謎です。
シャオマー役のホアン・シュエンは、星野源まぶしの坂口健太郎ってな趣きなのでありました。
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