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2017年1月12日 (木)

「アラビアの女王 愛と宿命の日々」:ニコールの若々しさ

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試写会で映画『アラビアの女王 愛と宿命の日々』を観ました。なんと久々の(ですよね?)ヴェルナー・ヘルツォーク監督作品。女性版『アラビアのロレンス』って触れ込みですけど(実際、作中にT.E.ロレンスも登場します)、公開劇場は地味なので、興行的には広がらなさそうな作品なんだろなーって感じです。実際、エンタテインメントとしてはあまり良く出来ていないので、なかなか興行的には難しいでしょうね。

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どうにもこうにも、この主人公=ガートルード・ベルの根本がよくわかりません。なぜこの時代に、女一人アラビアくんだりで??、何が彼女を駆り立てたのか?ってあたりの最重要ポイントが、最初から最後まではっきりしないのです。まあ実在の人物ですから、「とにかくそうだった」って言えば許されるのかも知れませんが、映画の脚本としてはそれじゃダメですよね。かつて『アギーレ 神の怒り』や『フィツカラルド』で、妄執に駆り立てられた人間を描いたヘルツォークらしからぬ淡白さです。

映像的にも(4K撮影だそうですが)どうってことなくて、映画全体のあっさり感からして、「老いたりヘルツォーク」って感じです。それに、この題材だとどうしても『アラビアのロレンス』と比較されちゃうわけで、そうなるともう月とスッポンですから・・・。

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でも本作はとにかくニコール・キッドマンを見る映画。現在49歳のニコちゃんですが、画面ではお肌すべすべつやつやで、シワ一つありません。特殊なデジタル加工?なんて思っちゃうほどでした。20代の頃からのガートルードを、違和感なく演じています。ハリウッド最高峰の美魔女と言っても過言ではありますまい。

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それにしても本作に登場するアラビアのロレンスがロバート・パティンソンだってのが、あまりにもダメダメでした。この人、クローネンバーグの『コズモポリス』あたりでは、それなりに雰囲気もあってクールだったのですが、このロレンスは眉毛が太いボンクラ兄ちゃんって感じでアウトです。ピーター・オトゥールとの落差があまりに大きいので、ある意味衝撃的なロレンス像でありました。

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19世紀後半、イギリス。 裕福な鉄鋼王の娘ガートルード・ベルは、オックスフォード大学卒業後、社交界にデビューする。 結婚相手を探すことより外の世界に憧れていた彼女は、テヘラン公使の叔父を頼りペルシャ(後のイラン)へ旅立った。 アラビア語の手ほどきをしてくれた三等書記官ヘンリーと恋に落ちるが、身分が違い過ぎることから父親に交際を反対されてしまう…。 歴史ロマンス。... [続きを読む]

受信: 2017年1月15日 (日) 09時33分

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