« 今日の点取占い266 | トップページ | 小ネタをいくつか・・・ »

2017年2月18日 (土)

「スノーデン」:ライトな正義と告発

358206_004
映画『スノーデン』は、かなり久しぶりに上出来のオリバー・ストーン作品。基本的に反骨の人なので、この題材が良くマッチした側面もありましょうが、むしろアメリカ映画の伝統に忠実な「正義と告発をめぐるひとりぼっちの戦い」の物語なので、そこが胸を打つのです。『摩天楼』とか『スミス都へ行く』とかの昔から、『セルピコ』などを経て今に至る系譜なのです。

358206_002
でも伝統的な主人公に較べて、ジョセフ・ゴードン・レヴィット演じる主人公エドワード・スノーデンにそれほど大きな義憤や燃える意思が無いのが、いかにも現代風です。性格的にも職務的にも時代的にも、感情や思想をあまり表に出さないのです。その上、戦う対象も「明らかな悪」というよりは、「得体の知れない不気味さ」みたいなものですから。更に彼自身、迫害されたり暴力にさらされたりするわけではないので、今一つその戦いの意義がピンと来ない的なところはあります。

358206_006_2でもライト・ウェイトだとしても、やはり不正を糺す孤独な戦いですし、その代償として彼が失ったものは大きいわけです。で、大江戸の場合はこういう人は単純に尊敬してしまう回路ができておりまして、押しつぶそうとする巨大なシステムに蜂の一刺しを決める姿に快哉を叫んでしまうのです。まあ彼が記録媒体を持ち出す際の方法には、「マジすか?」「いや、そういうの映画じゃよくある手ですけど・・・」と思わずにいられませんでしたけど。

358206_005

最後の方で、TVの公開録画会場で拍手する人々の中にオリバー・ストーン監督の姿がありました。スノーデンの勇気に拍手を送るという意思表示なんでしょうね。ストーンさん、顔が大きいんでわかりやすかったです。

エンドタイトルにかぶる実在のスノーデンとリンゼイって、映画の二人よりもルックス的にイケてました。そういうのって、珍しいですよね。

|

« 今日の点取占い266 | トップページ | 小ネタをいくつか・・・ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「スノーデン」:ライトな正義と告発:

» 『スノーデン』 国を裏切る愛国者 [映画批評的妄想覚え書き/日々是口実]
 『プラトーン』『JFK』などのオリバー・ストーン監督の最新作。  アメリカの情報機関が世界中で通信傍受を行っていることを暴露して名前を知られるようになったエドワード・スノーデンが本作の主人公。スノーデンに関しては『シチズンフォー スノーデンの暴露』(ローラ・ポイトラス監督)というドキュメンタリーがあり、第87回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を受賞している。  ドキュメ...... [続きを読む]

受信: 2017年2月19日 (日) 02時09分

» スノーデン〜プーチンとトランプの狭間で [佐藤秀の徒然幻視録]
公式サイト。アメリカ=ドイツ=フランス、原題:Snowden。ルーク・ハーディング原作、オリヴァー・ストーン監督。ジョセフ・ゴードン=レヴィット、シャイリーン・ウッドリー、メリ ... [続きを読む]

受信: 2017年2月19日 (日) 06時58分

» 映画:スノーデン SNOWDEN 彼が告発に至った「行き過ぎた国民監視」とは実際どういうことか、がわかる、という点で既にポイント高し! [日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~]
先に「シチズンフォー スノーデンの暴露」を観てから、鑑賞。 元CIA職員 エドワード・スノーデン氏(写真) が告発した行き過ぎた国民監視。 さて、どんな行き過ぎた国民監視なのか。 劇中、スノーデンと彼女(シェイリーン・ウッドリー)との会話。 「別に悪い事してるわけじゃないんだから、情報がダダ漏れしていても、私は平気よ」 「違う! 何を言ってるんだ!!!」 この映画で暴かれるのは「悪意」をベースにされると、情報ダダ漏れは超危険!ということ。 瞬時にして... [続きを読む]

受信: 2017年2月19日 (日) 07時07分

» スノーデン/SNOWDEN [我想一個人映画美的女人blog]
2013年にアメリカ政府による個人情報監視の事実を告発し、世界中を震撼させた 元CIA職員で国家安全保障局(NSA)だったエドワード・スノーデン。 「JFK」「ニクソン」「ブッシュ」と実在の人物にもスポットを当て描くことが得意の社会派オリバー・ストーン監督が映...... [続きを読む]

受信: 2017年2月19日 (日) 22時52分

» スノーデン [象のロケット]
2013年に国家最高機密を暴露した男、エドワード・ジョセフ・スノーデン。 CIA(アメリカ合衆国中央情報局)とNSA(アメリカ国家安全保障局)の職員だった彼は、自由を愛し、恋人を想い、すべてを捨てた…。 実話から生まれたヒューマン・ドラマ。 PG-12... [続きを読む]

受信: 2017年2月20日 (月) 20時04分

» スノーデン・・・・・評価額1700円 [ノラネコの呑んで観るシネマ]
ビッグブラザーの時代。 元CIA職員のエドワード・スノーデンが、国家権力による大量監視の実態を暴露した、所謂スノーデン事件の顛末を、一貫して反権力の立場で創作活動してきたオリバー・ストーン監督が映画化。 3.11以降、テロとの戦いを名目に、この世界がいかに変貌してしまったのか。 今や現実社会を動かす“エンジン”である目に見えないもう一つの世界、サイバーワールドで何が起こっているのか...... [続きを読む]

受信: 2017年2月20日 (月) 22時12分

« 今日の点取占い266 | トップページ | 小ネタをいくつか・・・ »