「スノーデン」:ライトな正義と告発
映画『スノーデン』は、かなり久しぶりに上出来のオリバー・ストーン作品。基本的に反骨の人なので、この題材が良くマッチした側面もありましょうが、むしろアメリカ映画の伝統に忠実な「正義と告発をめぐるひとりぼっちの戦い」の物語なので、そこが胸を打つのです。『摩天楼』とか『スミス都へ行く』とかの昔から、『セルピコ』などを経て今に至る系譜なのです。
でも伝統的な主人公に較べて、ジョセフ・ゴードン・レヴィット演じる主人公エドワード・スノーデンにそれほど大きな義憤や燃える意思が無いのが、いかにも現代風です。性格的にも職務的にも時代的にも、感情や思想をあまり表に出さないのです。その上、戦う対象も「明らかな悪」というよりは、「得体の知れない不気味さ」みたいなものですから。更に彼自身、迫害されたり暴力にさらされたりするわけではないので、今一つその戦いの意義がピンと来ない的なところはあります。
でもライト・ウェイトだとしても、やはり不正を糺す孤独な戦いですし、その代償として彼が失ったものは大きいわけです。で、大江戸の場合はこういう人は単純に尊敬してしまう回路ができておりまして、押しつぶそうとする巨大なシステムに蜂の一刺しを決める姿に快哉を叫んでしまうのです。まあ彼が記録媒体を持ち出す際の方法には、「マジすか?」「いや、そういうの映画じゃよくある手ですけど・・・」と思わずにいられませんでしたけど。
最後の方で、TVの公開録画会場で拍手する人々の中にオリバー・ストーン監督の姿がありました。スノーデンの勇気に拍手を送るという意思表示なんでしょうね。ストーンさん、顔が大きいんでわかりやすかったです。
エンドタイトルにかぶる実在のスノーデンとリンゼイって、映画の二人よりもルックス的にイケてました。そういうのって、珍しいですよね。
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