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2017年2月 6日 (月)

「沈黙 -サイレンス-」:イッセー、世界へ羽ばたくか?

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映画『沈黙 -サイレンス-』は、マーティン・スコセッシ74歳の渾身の企画。原作と出会って28年で完成を見たのだとか。2時間42分の堂々たる仕事ですが、とにかく観ていて疲れます。それだけ観ながらに多くの事を考えさせる作品なのです。「宗教映画」の歴史にも深く刻まれていく作品となるでしょう。原作の強度を感じさせます。

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外国の監督が日本を撮った(もっとも台湾ロケだったようですが)作品としては類例のないほどしっかりした考証に基づいています。不自然なツッコミ所はありません。あるとすれば、誰も彼もが英語をしゃべること。まあそれは、商業映画を作る上ではしょうがない事情ってことで・・・。

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世間で絶賛されている日本の役者陣ですが、窪塚洋介や浅野忠信は、いつもの彼らと比べてそれほどすごくはありませんでした。しかし、イッセー尾形は見事でした。あのタヌキなスマイルと、クセのある、しかしながら流ちょうな英語の発音。これはハリウッドがほっとかないと思いますよ。数年うちにイッセーさんが『スター・トレック』や『Xメン』あたりに、ヘタすると『007』や『スター・ウォーズ』に出ているなんてこともあり得ると予言しておきましょう。

広告等にも出ていなかったので知らなかったのですが、片桐はいりさんも出ていましたね。(大の映画ファンの彼女としては)「スコセッシの現場とあらば手弁当でも」って感じだったのではないでしょうか。

358205_010キチジロー(窪塚)は確かにユダですねえ。スコセッシがとても重要視したのもわかるような気がします。しかしスコセッシはすべての面において、解釈を固定化していません。観る者がどうにでも判断できるように描いています。日本の「八百万の神」「大日信仰」を説明しているあたりも「さすが」って感じです。 スコセッシの本作における視点は、「一つの真理」「絶対的な正義」が成り立たない現代にふさわしい立ち位置であり、かの国の大統領にも教えてあげたいものだと思うのです。

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