「愚行録」:必ずいやーな気分になります
映画『愚行録』は、色に例えれば濃い灰色。嵐が着そうな空の色。いやー、とても気分が悪い作品ですねー。観終わって、気分がどよーんと重くなりました。デート・ムービーに選んではいけない映画の代表格ですね。
でもその一方で片時も目が離せないというか、緊迫感たっぷりに引っ張っていく作品でした。ブラックな人々のブラックなエピソードやブラックな言動を積み重ね、いやーな気分にさせ続けてくれます。直接的な殺人描写があったりするわけではないのに、とても陰惨な印象を受けます。このテイストって、昨年の『葛城事件』に似てますね。
大学の「家柄の良い方々とそうじゃない連中」のスクールカースト的描写のいやったらしさにも、(古典的表現だなあと思いながら)嫌な気分になりました。まあ、嫌な気分にならない場面が無いともいえるわけなんですが・・・。
妻夫木聡、満島ひかりをはじめとする役者たちも、嫌な気分にさせてくれるうつろな演技を押し通します。やれやれです。
最もどす黒い悪意を感じたのは冒頭のバスのシーン。でも、あそこって映画のオリジナルなんですってね(脚本は向井康介)。
撮影(ピオトル・ニエミイスキ)も音楽(大間々昂)もみんなして、いやーな気分を盛り立ててくれます。まあ、「主犯」は監督の石川慶さんなんでしょうけれど。
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