「たかが世界の終わり」:家族はつらいよ
映画『たかが世界の終わり』は、すごく古典的な舞台劇みたいだなあと思ったら、本当に舞台劇の映画化だったのでした。だからこそなのか、やたらとクロースアップを多用して、5人の登場人物たちの心理を浮かび上がらせます。
ギャスパー・ウリエル、ヴァンサン・カッセル、マリオン・コティヤール、レア・セドゥ、ナタリー・バイというフレンチ・オールスター・キャストだからこそ、こんなに暗い話でもまあ観ていられます。いや、それでもなお観るのがしんどい作品です。彼らに確かな演技力があるので、観ていていたたまれません。
とにかくヴァンサン・カッセル演じる長男がめんどくさい「狂犬」でして、何を言っても何をしても噛みついて吠えまくります。「家族という地獄」を描いているようで、よく考えればこの人がいなければ普通にまとまるはずです。まあ、そういう人ともつき合っていかなければならないところが、家族の厄介さなんでしょうけれど。それに付き合わされる観客の方も、けっこうイライラして、終始いやーな気持ちが続くのです。
近作においては、『愚行録』とタメを張る「いやーな気分になる映画」ですね。それなのに・・・『マイアヒ』ですよ。なぜか笑っちゃう『マイアヒ』。踊り付きで「♪マイアヒ~、マイアフ~・・・」。
大江戸としては、同じようにしんどい家族映画だとしても、本作よりも(グザヴィエ・ドランの前作)『Mommy マミー』の方が断然好きなのであります。
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