「3月のライオン 前編」:映画としてのアプローチが成功
映画『3月のライオン 前編』は、マンガ原作アニメ経由の娯楽映画として、よく出来ておりました。小生はNHKのアニメを(初期の数本を除いて)だいたい見ていましたが、そのストーリーを上手に映画の尺に収めておりました。ダイジェスト感がなくはないのですが、比較的それを感じさせない作品になっていました。そして、ちゃんと面白い作品になっていました。
まあ残念だったのは、この作品の特徴であるコミカルな場面(&ニャーたちの出番)がほとんど無かったこと。ただ、あの表現はマンガやアニメだから可能なのであって、実写映像化した中でそれをやったら作品がブチ壊れてしまいますので、これはしょうがないところです。ま、特殊メイクで異様に太った(『聖の青春』の松山ケンイチとは別のアプローチですね)染谷将太が、コミカル部分は一手に引き受けておりましたが・・・。そういえば、染谷くんは『聖の青春』と本作という二つの将棋映画で、それぞれ重要なサブキャラを演じておりますね。
有村架純は「初の悪女役」ってことで、お姉ちゃん(香子)を熱演してましたが、ある意味誰もが「ミスキャスト」だと思う役柄で、ちょっとかわいそう。「柄」ってもんがありますから、これは無理ってもんでしょう。
神木君も23歳で17歳の役ってのは、なかなか無理があろうかと思うのですが、彼は最高に「柄」が合っているので、なんとか成り立たせていました。
役者で良かったのは、佐々木蔵之介、倉科カナ、高橋一生など。キャラクターに生き生きとした命を吹き込んでおりました。
将棋の対局場面は、戦う二人の顔のアップを多用することで説得力を持って描き切りました。駒の動きを説明していってもほとんどの観客は理解できないでしょうから、娯楽映画においてこれは正しいアプローチ。佐々木蔵之介の顔(表情演技)なんて、見事なもんでしたよ。どの試合も、なかなかの緊迫感と迫力が出ているのです。
さてさて、後編が楽しみですねえ。4月22日が待ちきれません。
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