「キセキ あの日のソビト」:松坂桃李が良いです
映画『キセキ あの日のソビト』です。「ロシア あの日のソビエト」ではありません(すいません。言ってみたかっただけなんですぅ)。
真っ当な青春音楽サクセスストーリーのようなパッケージですが、なかなかどうしてヘンな映画でもあります。
だって、外科医の父さん(小林薫)ったら、すっごい父権主義者で、鉄拳振るい放題。しまいには日本刀まで振りかざすって・・・これ見る限りだとほとんどマンガなのですが、果たしてどこまで実話に基づいているのでしょうか?
で、終盤まで観ていった時、「そんな怪物お父さんを作り上げてしまったのって、ひょっとしたらお母さん(麻生祐未)なのかもな」と思いました。このお母さんの場当たりな対応や無責任さがお父さんの暴君ぶりを増長させていったように思えてなりませんでした。
兄役の松坂桃李が、これまでのヒズ・ベスト演技ではないでしょうか。このキャラクターの信念や理想や夢や屈折や挫折や憤怒や喜びや・・・様々な感情を体全体で演じて、訴えて来るものがありました。いや、良い俳優になりました。
一方弟役の菅田将暉は、「まあ彼なら、当然このぐらいはできるでしょう」ってレベル。悪くないねって程度でした。
大江戸の好みとしては、もっと「才能の残酷さをめぐる物語」にしてほしかったですね。『アマデウス』の兄弟版みたいな感じに、弟の天才に気づいてしまった凡才の兄の嫉妬と焦燥と・・・みたいなドラマを観てみたかったです。
(以降ネタバレあり) ラストの「GReeeeNみたいな曲を作れるようになれ」という父親の言葉は、つまり「わかっていた」んでしょうね、あの時点で。それをオヤジなりに照れて表現したってことなんでしょうね、きっと。
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