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2017年3月 9日 (木)

「ラ・ラ・ランド」:ラ・ラ・ラヴリー、チャ・チャ・チャーミング!

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映画『ラ・ラ・ランド』をようやく観ました。上がり切ったハードルでしたが、一応クリア。大江戸的には、デイミアン・チャゼル監督の前作『セッション』の方に軍配を挙げますが、それでも素晴らしいし、称賛したい映画です。

往年のハリウッド・ミュージカルをリスペクトして、捧げまくるオマージュの数々。本当に今日びよくぞここまでやりました。そりゃあ、黄金期の名作たちと較べたら・・・ってところはあります。でもそれは酷ってもんで、むしろこの堂々たる再生のお手並みをきちんと評価してあげるべきでしょう。

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オープニングの大渋滞ハイウェイでの長回しワンカットで、いきなり古典的ミュージカルの世界と原色ワールドに引き込まれます。この曲のエンディングで盛り上がって、そこに“LA LA LAND”とメインタイトルが出るあたりとか、もう拍手しちゃいそうでした。他の曲も「いかにも」なミュージカル・ナンバーで、これブロードウェイの劇場だったら、終わった時には万雷の拍手だろうなーって感じ。映画でここまでそういう感覚が出てるのって、なかなかありません(近年では『シカゴ』の“All That Jazz”の最後ぐらいか・・・)。

358727_001監督がこの世界を愛しているだけに、ミュージカル映画の撮り方がちゃんとわかっています。これも’70年代以降のミュージカルには珍しいところ。「踊っている全身を見せる(フルサイズ~セミロング・ショット)」、「カットを割らずにダンスを見せる」といった基本がしっかりできているのです。まあ分量的には、もう少し多くのミュージカル場面を見たかったですけどね。

アカデミー主演女優賞に輝いたエマ・ストーンには華と愛嬌があり、(歌と踊りは「そこそこ」でしたが)作品に合った味わいで健闘してました。

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一方のライアン・ゴズリング(今、「牛頭リング」と変換されたので驚きましたが)は基本的に陽ではなく陰の人なので、ハリウッド・ミュージカルのスターらしさ--滲み出すユーモア、洒脱さ、ソフィスティケーション に欠ける--って気がしておりましたが、ラストのあの顔!=微かな微笑みへの表情変化 で、全てオッケーになりました。あたかもオセロで黒がすべてひっくり返って白に変わったみたいな感じで・・・。あれで、中盤やや失速した映画自体も、全て生き返りました。あの数秒を見るために、もう一度映画を観てもいい。そのような演技でした。いや、まいった。ほろ苦くも甘美なラストです。

それにしてもJ.K.シモンズが、あの程度のチョイ役だったのにも驚きました(『セッション』でのオスカー助演男優賞獲得への御礼出演って感じでしょうか?)。

帰り道には曲を口ずさみ、翌日(つまり今日)もなおメロディーがずっとぐるぐるしてます。良いミュージカルならではの現象ですね。

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コメント

TBありがとうございます。
ヤフーブログからは、TBできなくなってしまいました。
返礼TBは、FC2ブログから行いますね。
よろしくお願いします。(*^_^*)

http://yutake2415.blog.fc2.com/blog-entry-2255.html

投稿: yutake☆イヴ | 2017年3月11日 (土) 00時54分

yutake☆イヴ様、いつも楽しく読ませていただいてます。
これからもよろしくお願いいたします。

投稿: 大江戸時夫 | 2017年3月11日 (土) 22時43分

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