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2017年4月 4日 (火)

「未来よ こんにちは」:平熱のアンマリード・ウーマン

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映画『未来よ こんにちは』は、ミア・ハンセン=ラヴ監督による肩の力の抜けた佳品。いわば等身大の女性映画です。 中年女性の日々のあれこれを追いながら、「所帯臭く」ならないところがフランス映画ですね。そう、この映画の中には常に穏やかで爽やかな空気が流れているのです。

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夫の衝撃の告白が全然衝撃的じゃなくて、普通の会話として(事のついでみたいに)話されるのが、なかなかです。まあ、こんなもんかも知れませんね。そして、聞いた方の妻の反応も激昂や非難や悲嘆ではなく、ごく普通の会話のように流れていきます。この場面に代表されるように、この映画における人々とその言動って常に「平熱感覚」なんです。

358919_002その最大の原因は、イザベル・ユペールの秀逸な演技でしょう。知的でナチュラルで気持ちが良いのです。好感の持てるキャラクターです。いい感じに力が抜けていて、ニュートラルな感じが素敵です。体型から着る物から発声まで、いつもとちょっと違うユペールを演技しています。やっぱりうまいなあ、この人。

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いろいろあっても、人生は割と普通に続く・・・そんな人生観が実に現代的なのです。ラストも変わらず平熱感覚で、そこにいくばくかのポジティブさが垣間見られるところがお値打ち。 原題が“L'avenir”(未来)ってぐらいだから、そりゃーポジティブでなくっちゃね(無理せずにね)。

あ、この話ってポール・マザースキー監督の『結婚しない女』(An Unmarried Woman)にちょっと似てますよね。あのラストも微かな希望の未来を感じさせてましたもんね。

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