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2017年4月 2日 (日)

「ムーンライト」:行間を読む寡黙な映画

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映画『ムーンライト』は、アカデミー最優秀作品賞を受賞したのが嘘みたいなほど、地味で「上等」な映画。普通こういう映画は、ひっそりとしか評価されないわけですが、現在のタイミングが味方して大きな名声を得たのです。やはりオスカーに関しては、前年・前々年の「黒人作品&俳優が選ばれない。差別だ。」という批判からの流れで、大きな反動が起きたということなのでしょう(それが無ければ、当然『ラ・ラ・ランド』ですよねえ。フェイ・ダナウェイも同意してくれるはずです)。

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主人公同様に寡黙な映画です。とにかく「皆まで言わない」作品なのです。鑑賞に当たってはある程度の映画リテラシーが求められますし、ベタに説明することはないので、セリフや行動から想像するしかないのです。微かなヒントを読む=「行間を読む」べき映画とでも申しましょうか・・・。ただきちんと読み取れるようにも作ってあるので、自分で読み取れた時の感銘は、本作の静かな醍醐味だと言えるでしょう。

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カットの初めのうちはどこにも焦点が合っていない映像だとか、あえてピンボケさせていたりするカットもあって・・・。でも、いい色のいい絵が撮れているんですよねー。 で、撮影監督を調べてみたら、・・・ひえー、このジェームズ・ラクストンって人、あの改造セイウチ人間の映画『Mr.タスク』を撮った方ではあーりませんか! いや、びっくり。

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3つの章のうち2番目(少年期)で、主人公が普通のストレート・ジーンズをはいてるだけで、「なんだ、その女みたいな細いジーンズは」などとからかわれるのですが、あれでからかわれるんじゃ、スリムやスキニーのパンツはどうなってしまうのでしょうか? そういえばヒップホップ以降のアフリカ系の方々って、本当にぶっといパンツばかりですよね。かつてのジャズの方々は、細いパンツが多かったのにね。だからその部分は、ライアン・ゴズリングがやってくれちゃってるのでしょうか?

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