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2017年5月 8日 (月)

「みみずくは黄昏に飛びたつ」by川上&村上

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川上未映子が村上春樹にロング・ロング・インタビューを行った本『みみずくは黄昏に飛びたつ』(新潮社)を読みました。

4つの章に分けたインタビューで、少女時代からの村上作品の熱心な愛読者でもある川上さんがぐいぐいと村上さんに迫ります。時として「村上さんたじたじ」といった様子になるあたりが、結構スリリングです。

川上さんは縦横無尽に過去作品からの事例や引用を持ち出しますが、村上さんの方では大抵「そんな事書いたっけ?」って感じで、のれんに腕押し感たっぷりです。そんな所を含めて、とにかく面白いQ&Aの連続です。川上さん、鋭いです。ファンとしての視点、小説家としての視点、フェミニストとしての視点から、ズバズバと聞いたり、村上さんの答にのけぞったりしています。

中心となるのは『騎士団長殺し』なのですが、やはりこの作品の謎はきっちり解き明かされるわけもなく、謎のまま残ります。大江戸としてはこの作品、きっと1年後ぐらいに第3部が出るんだろうな(『ねじまき鳥クロニクル』や『1Q84』のように)と思っていたのですが、これを読むと「あ、あれで終わりなんだ。村上さん、基本的には続きをつくらないでいいと思ってるんだ」と感じずにはいられません。

まあ、それにしても村上春樹って、長編でも短編でもエッセイでも悩み相談でもインタビューでも、金太郎飴的にどこを切っても村上春樹だなあ。

帯に「ただのインタビューではあらない」と書いてあるあたりに、いい感じのセンスですね(『騎士団長殺し』を読んだ人には響くってことで)。

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