「メットガラ ドレスをまとった美術館」:裏方の苦難の日々
映画『メットガラ ドレスをまとった美術館』は、メトロポリタン美術館の運営費集金のために行われる年に一度の超セレブ・イベント。ファッション界、音楽界、映画界などのきらめくスターが大集合して、一晩で席代18億円が集まるのだそうです。しかも、客を減らすのに苦労してるって・・・。
この
イベントを仕切るのが「プラダを着た悪魔」ことアナ・ウィンター。彼女、1947年生まれだから今年で70歳になるんですね!若々しさにびっくりです。そして、身にまとうカリスマ・オーラの凄さときたら!
そしてゲスト・アピアランスのジョン・ガリアーノ、カール・ラガーフェルド、ジャン・ポール・ゴルチエ、ウォン・カーウァイ、バズ・ラーマン、リアーナらも、実に豪華。
でも本作の主役は、メットのファッション部門のキュレーターであるアンドリュー・ボルトンです。彼が展覧会『鏡の中の中国』を企画し、展示品を選定し、さまざまな苦難を乗り越えてオープンに至るまでのあれこれが、めっぽう興味深く、そして素晴らしいのです。大江戸も訳あって展覧会の裏側には結構詳しかったりするのですが、ここで描かれるアンドリューの苦労の数々は「時間とカネと人間関係」との闘いであり、その中でいかに「美」を追究できるかってあたり、まさに学芸員冥利というか仕事冥利というか、働くことの意義の追究でもあるのです。デイヴィッド・ボウイ似のアンドリューはよくやりました。
一方でファッション・ビジネスが大きくなればなるほど、(純粋な人もいるのだけれど)うさんくさい人、インチキ臭い人が群がって来るというのも事実。そのうんざりするような空気も味わせてくれる作品でもありました。 それでもアンドリューのような裏方がいる限り、「ファッション」は大丈夫だと思えるのです。
| 固定リンク
コメント