「20センチュリー・ウーマン」:リベラルであけすけでしみじみ
映画『20センチュリー・ウーマン』は、原題だと“20th Century Women”。3人の女性が描かれ、「ウィミン」と複数形になっているところがミソなのですが、邦題だと「ウーマン」になっちゃってますね。ま、しょうがないか。
女性たちの物語であり、母と息子の物語であり、男の子の物語でもあります。でも一番の中心はおっかさん(アネット・ベニング)です。
時代は1979年。登場人物たちには、ヒッピーからの余韻が残留しているというか、自由でリベラルな方々です。そんな中で、パンクとニューウェイヴの争いがあるとか、フェミニズム思想の本があれこれ出て来るとか、いやー、時代色たっぷりです。もう’80年代ってのは、十分に「時代劇」なんですね。当たり前? 個人的には映画『コヤニスカッティ』の一場面が出て来たのが、ツボでした。
ものすごくあけすけなセックス・ネタがいろいろあったり、「あー、家族って面倒臭いなあ」「疑似家族も面倒臭いなあ」と思わせたりもするのですけれど、最終的には結構しみじみさせます。そこがお値打ち。(以降ややネタバレあり) ラスト・カットの飛行機の運転席にいるおっかさんの絵なんて、妙にしみじみしちゃいました。
エル・ファニングはもう堂々たるものですね。本作でも(『ネオン・デーモン』や『夜に生きる』ほどではないものの)印象的でした。今年上半期は「エルちゃん祭り」でしたね。 またエルとは対照的な個性のグレタ・ガーウィグも、実に良いのです。そしてアネット・ベニングの素晴らしさは、申すまでもありません。 男2人も含めて、「アンサンブル演技賞」を進呈したい感じなのであります。
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