« l「光」:美しさと情感と | トップページ | 「夜に生きる」:コクとキレがある »

2017年6月 5日 (月)

「海辺のリア」:まさに仲代達矢の一人舞台

T0021903p
映画『海辺のリア』は、映画と言いつつも、そりゃもうえらく「演劇」なのです。そもそも仲代達矢でリアなのですから、演劇なのです。

全編のほとんどが海辺(浜辺)。あと老人ホーム前と道の上が少々です。これだけ場面が少ないわけですし、舞台で演じられたらこうなるだろうなという想像が容易にできるのです。

役者たちの芝居も、仲代、黒木華の二人は、明らかに舞台劇のようです。声を張り上げ、朗々と響かせ・・・と、映画の芝居や台詞回しではありません。

まあ小林政広監督があえてそのように作っているのでしょうけれど、それが何らかの効果を上げていたかと言えば、うーん、どうなんでしょう? 少なくとも終盤の波打ち際での仲代の(気持ちよさそうな)一人芝居は、正直観ててしんどかったです。この映画の面白さに、全くつながって行かないのです。

T0021903a
それどころか、仲代さんがこの世に別れを告げているかのような芝居に見えて、あまりにも「遺作感」が漂い過ぎていて、なんだか心配になってしまいました。

これまでの小林監督作品では感じたこともなかったことですが、今回ばかりはいったい何をやりたかったのかがわかりませんでした。現代的なリア王の話を仲代さんで、ってことかも知れませんが、それなら(仲代とのコンビで作った)『春との旅』みたいに作るとか『日本の悲劇』みたいに作るとかした方が自然ですよね。 仲代達矢というグレートな対象にのめり込み過ぎたあまり、「面白い映画を作る」という大前提がどこかへ行ってしまったんじゃないかなあ、などと(生意気ながら)思ってしまったのでした。

|

« l「光」:美しさと情感と | トップページ | 「夜に生きる」:コクとキレがある »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/42098/70776575

この記事へのトラックバック一覧です: 「海辺のリア」:まさに仲代達矢の一人舞台:

» 海辺のリア [象のロケット]
桑畑兆吉は、舞台や映画に出演する役者として半世紀以上のキャリアを積み、さらに俳優養成所を主宰する大スターだった。 だが、今や認知症の疑いがあり、高級老人ホームへ送り込まれている。 施設を脱走し、海辺を歩き続ける兆吉の傍には、愛人に産ませた娘・伸子の姿があった。 その頃、兆吉の長女・由紀子は、夫で兆吉の弟子だった行男、そして自分と愛人関係にある運転手を前に、兆吉のことは見捨てろと言い放つ…。 ヒューマンドラマ。... [続きを読む]

受信: 2017年6月 6日 (火) 08時07分

» 『海辺のリア』('17初鑑賞60・劇場) [みはいる・BのB]
☆☆☆★- (10段階評価で 7) 6月5日(月) シネ・リーブル神戸 シネマ1にて 12:10の回を鑑賞。 [続きを読む]

受信: 2017年6月 7日 (水) 12時17分

» 「海辺のリア」 [お楽しみはココからだ~ 映画をもっと楽しむ方法 ]
2017年・日本/モンキータウンプロダクション配給:東京テアトル 監督:小林政広 脚本:小林政広エグゼクティブプロデューサー:杉田成道 撮影監督:神戸千木 衣装デザイナー:黒澤和子 「春との旅」の小林... [続きを読む]

受信: 2017年6月18日 (日) 22時28分

« l「光」:美しさと情感と | トップページ | 「夜に生きる」:コクとキレがある »