「夜に生きる」:コクとキレがある
映画『夜に生きる』は、ベン・アフレック脚本&監督&主演による’20年代ギャング映画。本当にベンは、コクのある映画らしい映画を撮りますね。映像的には、『ゴッドファーザー』を思わせるような光と影と質感。ぶかぶかスーツに代表されるような衣装の時代再現もあれば、クラシックカーによるカーチェイスや銃撃戦の描き方のクォリティの高さもあって、まさにすべてのパートが上質な作品となっています。描写にキレがあるのです。
役者たちも上質で、主演のベン・アフレックをはじめ、皆(演技的に)スキがありません。特に父娘を演じたクリス・クーパーとエル・ファニングが、助演賞ものの見事さ。エルは今、輝いています。後半のカリスマ聖女的なオーラの発散は、驚くべきもの。そこに童女のイノセンスも残っているあたり、無敵です。
またイタリア・ギャングのボスもアイリッシュ・ギャングのボスも、その世界の人の怖さをものの見事に表現していて、ハンパなくコワかったっす。そこらの説得力が違うので、銃撃戦の迫力もハンパないのです。
多くの人がクリント・イーストウッドの後継者と目しているベン・アフレック。確かにムービーメイカーとしての手腕は、あの方に並ぶものかも知れません。しかもベンにはまだこれからの「伸びしろ」がありますからね。「コクとキレ」を更に磨きながら、更なる地平に進んでもらいたいものです。
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