「ハクソー・リッジ」:残酷描写にちょっと辟易
映画『ハクソー・リッジ』は、ユダヤ人差別発言問題でミソをつけたメル・ギブソンの監督復活作品。戦場映画なもんで、これまで以上にエグイ人体損壊描写満載でお送りいたしております。でも基本的には、古き良きアメリカ映画の伝統を継承するような感動作ともなっております。でも、小生は激しい戦闘描写の連続に辟易してしまい、さほど感動はしませんでした(実際の戦場はこうなんだ!と言われれば、「はあ」と恐縮するしかないのですが)。誰かがどこかで「メル・ギブソン、絶対途中から楽しんでやってる」って書いてましたが、かなり同意です。
前半の子供時代~父とのあれこれ~妻との出会いあたりの描写が、映画として上質。古き良きアメリカ映画の良作って、こうだったなあって感じです。それは、入隊してからの訓練や試練の描写にもつながっていきますが、日本の軍隊だったら、こんなんじゃ済まなかったでしょうね。殴ったり蹴ったりで殺されちゃったんじゃないでしょうか?(いや、これまで観た映画などからの想像でしかありませんが)
それにしても今年は(アメリカでは去年ですね)アンドリュー・ガーフィールド主演の「信仰と暴力/信念の主人公の受難」を描く作品が続きましたね(『沈黙 サイレンス』と本作)。 でも、役者では彼よりも彼の妻となる看護婦役のテリーサ・パーマーや、彼の上官役のヴィンス・ヴォーンの方がいい味出してました。ヒューゴ<エージェント・スミス>ウィーヴィングも、いい歳になったんですねえ。
日本兵たちが、ただ「続々と湧いて出て来る敵」というゲーム的な扱い、もしくは往時のハリウッド映画におけるアメリカン・インディアン的な扱いだったのが、気にはなりました。しかしながら、この映画で描こうとしている所はそこではないのだからしょうがないってのも、理解はできます。
戦闘シーンの激しさから『プライベート・ライアン』を引き合いに出して語られることの多い本作ですが、同じスピルバーグ作品でも「もう一人救いたい」ってのは、『シンドラーのリスト』と共通してましたよね。いずれにしても、メル・ギブソンはまだまだスピルバーグの域になど達してはおりませんです(永久に?)。
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» 劇場鑑賞「ハクソー・リッジ」 [日々“是”精進! ver.F]
必ず、助ける…
詳細レビューはφ(.. )
https://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201706240001/
【輸入盤】Hacksaw Ridge [ ハクソー・リッジ (原題) ]
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受信: 2017年7月 9日 (日) 05時42分
» 映画:ハクソーリッジ HACKSAW RIDGE 1.はじめに信念があり、2.試練があって、3.ヒトは大きな成果を出す、な好事例。 [日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~]
メル・ギブソンと言えば
演技は勿論、監督になっても「やや?かなり?エキセントリック」
なので、気になっちゃう点が、 3つ も!(笑)
その1.
監督が「エキセントリック」なので、過去のごとく「暴力シーンがエグい!」
鑑賞してみると、確かにエグいシーンは多いが、そのエグさを感じきる前に、シーン転換。
なので、ハキソー(吐きそー)リッジ、には至らない。
このへんの...... [続きを読む]
受信: 2017年7月 9日 (日) 06時25分
» ハクソー・リッジ [映画的・絵画的・音楽的]
『ハクソー・リッジ』を渋谷のル・シネマで見ました。
(1)アカデミー賞の作品賞や主演男優賞などにノミネートされた作品ということで、映画館に行ってきました。
本作(注1)の冒頭では、「真実の物語」の字幕。
次いで、画面には、兵士の死体が横たわっています...... [続きを読む]
受信: 2017年7月 9日 (日) 08時07分
» ハクソー・リッジ [象のロケット]
第二次世界大戦中のアメリカ。 青年デズモンドは陸軍に志願するが、訓練中も銃に触れることを断固として拒絶する。 宗教上の理由から「生涯、武器には触らない」と、固く心に誓っていたのだ。 そんな彼も、沖縄の激戦地「ハクソー・リッジ」へ赴任することに…。 実話から生まれた戦争ドラマ。 ≪戦争は命を奪うが、僕は、命を救う―。≫... [続きを読む]
受信: 2017年7月 9日 (日) 14時59分
» ハクソー・リッジ [とりあえず、コメントです]
第二次世界大戦中に衛生兵として戦争に志願した青年の姿を描いたメル・ギブソン監督作品です。 予告編を観て、戦場のシーンの激しさにどうしようかと思いましたけど、やっぱりチャレンジしてみました。 実話を基にした作品は戦争の怖さや虚しさだけでなく、主人公の信念を持った生き様そのものを しっかりと映し出しているような戦争映画になっていました。 ... [続きを読む]
受信: 2017年7月10日 (月) 22時41分
» ハクソー・リッジ・・・・・評価額1650円 [ノラネコの呑んで観るシネマ]
神さま、あと一人だけ。
「アポカリプト」以来、10年ぶりとなるメル・ギブソン監督作品。
第二次世界大戦下の沖縄で、信仰ゆえに不殺の誓いをたて、一切の武器を持たずに、75名もの負傷兵を救出した衛生兵、デズモンド・ドスを描く実話ベースの物語だ。
アンドリュー・ガーフィールドが「沈黙-サイレンス-」に続いて、再び日本の地で信仰を問われる。
なんかこの人、前世で日本に縁があるのでは?...... [続きを読む]
受信: 2017年7月11日 (火) 11時03分
» 「ハクソー・リッジ」 [お楽しみはココからだ~ 映画をもっと楽しむ方法]
2016年・アメリカ・オーストラリア合作 配給:キノフィルムズ 原題:Hacksaw Ridge 監督:メル・ギブソン脚本:ロバート・シェンカン、アンドリュー・ナイト製作:デヴィッド・パーマット、ビル... [続きを読む]
受信: 2017年7月15日 (土) 09時47分
» ハクソー・リッジ [だらだら無気力ブログ!]
後半の戦闘シーンの描写が凄い。 [続きを読む]
受信: 2017年7月16日 (日) 01時10分
» 『ハクソー・リッジ』のウソとマコト [映画のブログ]
【ネタバレ注意】
デズモンド・ドス上等兵が、日本軍との戦争のさなかに日本兵を助けたのは本当なのだろうか?
戦争映画は幾つも観たが、戦闘シーンで涙が止まらない映画ははじめてだった。
『ハクソー・リッジ』は、米国バージニア州の職人デズモンド・ドスが、モーセの十戒の一つ「汝、殺すなかれ」を胸に刻みながら戦争に臨む話だ。
1919年に生まれ、2006年に87歳で没したド...... [続きを読む]
受信: 2017年7月16日 (日) 03時03分
» [映画『ハクソー・リッジ』を観た] [『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭]
☆・・・イーストウッドにアフレック、スタローンと、俳優でありつつ監督として傑出した作品を残している才人は多い。
メル・ギブソンもその1人。
鑑賞前、とても高揚して赴いた!
敵を討たない衛生兵が主人公なので、メル・ギブソンなよったか!?
いや、激しく語ってくれていた。
悲しいのが、舞台が沖縄戦なんだよなぁ。
だが、メル・ギブソン、「バランス」よく描いていた!
序盤は、主人公ドスの幼少期、先の大戦の後遺症... [続きを読む]
受信: 2017年7月17日 (月) 09時12分
» 『ハクソー・リッジ』 沖縄戦のリアル [Days of Books, Films]
Hacksaw Ridge(viewing film) 『ハクソー・リッジ(原題 [続きを読む]
受信: 2017年7月19日 (水) 16時57分
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