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2017年7月17日 (月)

「彼女の人生は間違いじゃない」:さりげなさと演出の力量

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映画『彼女の人生は間違いじゃない』は、福島県出身の廣木隆一監督が、自身の小説を映画化(脚本は加藤正人)した作品。最近は『ストロボエッジ』や『PとJK』のようなキラキラ映画も撮る廣木監督ですが、こちらは『ヴァイブレータ』や『さよなら歌舞伎町』のように、じっくりと人間を描いていくタイプの作品。本作もまた、'7-80年代の日本映画のテイストを持っていて、悪くありません。

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オープニングの並木道って、『桜並木の満開の下に』(2012/舩橋淳監督)のあの桜並木ですよね。それはともかく、霧の並木に除染の作業員たちがやって来るところから映画が始まることが示すように、本作は東日本大震災及び福島原発事故を大きなモチーフとしています。現在の被災地の風景、あの頃の被災地の風景も出て来ますし、登場人物の多くがあの震災に人生を狂わされた人々です。もちろん主人公(ほぼ新人の瀧内公美)も。

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ただ東京人の小生には、正直言って彼女の深い苦悩やなぜデリヘルで働いているのかということがよくわかりませんでした。そこまで心が壊れたり虚ろになったりする感覚は、やはりあの災害の当事者や当事者に近い人でないと実感できないのかもと思いました。想像力が足りないと言われれば、そうなのかも知れませんが・・・。

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主人公が福島-東京を往き来する高速バスの絵が、走るバスを捉えた遠景も、車内の彼女を捉えたショットも、何でもないショットなんですけど、やけに素晴らしかったです。その映像を見ることが実に「映画を観てる」って感覚に溢れているというか。こういう所に監督の力量の差が出るってことなんでしょうね。不思議です。

(以降ややネタバレあり) ラストでほのかな希望が示されます。主人公の心の中にも 希望が生まれ、福島にも希望の光が射すような。そのさりげなさが、映画の描写ってものでしょう。これもまた監督の力量なのです。

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福島県いわき市。 震災で母を亡くし、仮設住宅に父と2人で暮らす市役所職員・金沢みゆきは、週末になると高速バスに乗り東京へ向かう。 彼女は渋谷でデリヘル嬢のアルバイトをしているのだった。 一方、市役所の男性職員・新田は東京から来た女子大生に「あの日から」のことを取材される…。 震災ヒューマンドラマ。 R-15... [続きを読む]

受信: 2017年7月18日 (火) 08時38分

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