« 『昼顔」:斎藤さんのルックス、ダサすぎません? | トップページ | 「武曲 MUKOKU」:綾野剛の「役者バカ」ショー »

2017年7月 4日 (火)

「夜明け告げるルーのうた」:攻めながらの「普通」

359479_005_2
映画『夜明け告げるルーのうた』が、アヌシー国際アニメーション映画祭で最高賞を受賞したってことで、凱旋興行を行っているのを観ました。先ごろ公開された湯浅政明監督の『夜は短し歩けよ乙女』がそれほどしっくり来なかった大江戸なので、こちらも「どうかなあ?」と思って観たのですが、やはりそれほどしっくり来ませんでした。これは相性の問題だから、しょうがありませんね。

359479_001

湯浅監督が本作では意識的に「普通」の「わかりやすい」作品を目指したそうで、確かに中学生男女が出て来てバンドやったり、親子の間に問題があったり、何かと悩んだり。そして、絵のテイストは親しみやすく、見せ場も多く、ルーはかわいく、と実に一般的、古典的なアニメ映画の意匠をまとっています。

359479_006
でも何かちょっと影があるというか、違和感を感じさせるところが湯浅流なのでしょうか。ルーのパパは、なんでサメなのか? そしてパパの目玉や口元がトトロみたいになる場面があるのですが、なんでトトロなのにこんな不安な感じなのか? 例えばそんなところ。後半の水害&避難の場面なんて、まさに東日本大震災の津波なんですけど、これもまた不吉というか、暗い記憶につながるものです。

359479_004

でもクライマックスの疾走感やダイナミズムは、大したものです。炎を上げてパワフルに走るパパ(エヴァのビースト・モードみたい)。海上アクションでの、カメラぐるんぐるんみたいな映像。いや、凄い。

現代の3DCGアニメの対極にあると言えるほど大きく違うので、映画祭の審査員たちにはそこがアピールしたってこともあるんでしょうね。攻めながら「普通」を作ってました。

|

« 『昼顔」:斎藤さんのルックス、ダサすぎません? | トップページ | 「武曲 MUKOKU」:綾野剛の「役者バカ」ショー »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「夜明け告げるルーのうた」:攻めながらの「普通」:

» 夜明け告げるルーのうた ★★★ [パピとママ映画のblog]
「MIND GAME マインド・ゲーム」「ピンポン THE ANIMATION」「夜は短し歩けよ乙女」の鬼才・湯浅政明監督が、自身初の完全オリジナルで描く長編青春ファンタジー・アニメーション。田舎の港町を舞台に、塞ぎがちな少年が歌が大好きな人魚の少女との出会いを通して少しず...... [続きを読む]

受信: 2017年7月 5日 (水) 16時13分

» 夜明け告げるルーのうた・・・・・評価額1700円 [ノラネコの呑んで観るシネマ]
夜明け告げるうたは、少年に何をもたらしたのか。 先日、13年ぶりとなる劇場用長編「夜は短し歩けよ乙女」が公開されたばかりの、湯浅政明監督による、完全オリジナルの長編アニメーション。 年に二度もこの人の映画が公開されるだけでも驚きだが、「夜」の次が「夜明け」とは、なにか狙って作っている? 心を閉ざした少年と、人魚の少女との一夏の出会いと別れを描く。 共同脚本に「聲の形」の吉田玲子、...... [続きを読む]

受信: 2017年7月 5日 (水) 20時45分

» 夜明け告げるルーのうた [象のロケット]
寂れた漁港の町・日無町(ひなしちょう)で、父と日傘職人の祖父と3人で暮らしている中学生の少年カイ。 ある日、クラスメイトの少年・国男と少女・遊歩から彼らのバンド「セイレーン」に入らないかと誘われたカイは、練習場所の人魚島で人魚の少女ルーと出会う。 ルーは楽しそうに歌い、無邪気に踊るのだった。 しかし、古来より日無町では、人魚は災いをもたらす存在として恐れられていた…。 ファンタジーアニメ。... [続きを読む]

受信: 2017年7月 5日 (水) 21時11分

« 『昼顔」:斎藤さんのルックス、ダサすぎません? | トップページ | 「武曲 MUKOKU」:綾野剛の「役者バカ」ショー »