「忍びの国」:あーあ、やれやれな失敗作
映画『忍びの国』は明らかに失敗作。おふざけなんだかシリアスなんだか、何を描いて何を訴えたいんだか、よくわかりません。まあ、中村義洋監督って、昔っから良い作品と悪い作品のムラがあり過ぎる人でしたからねえ(概して、大作を撮ると失敗してました)。今回はかなりドイヒーでした。
とにかく大野智演じる主人公「無門」が、「いくら何でもこんな忍者いないだろー」ってぐらいに現代的で無気力でふざけたキャラ。肝腎のアクション・シーンも、それなりに撮っている一方でおふざけトーンが入って来ますからねえ。そういうこともあって、なんだか全編が往年のTBS『かくし芸大会』の中のドラマみたいな感じでした。やれやれ。 そもそも大野君って、役者としては致命傷なほど声が悪いので・・・。
石原さとみもまた何だかよくわからないキャラクターで、いったい何を目指しているのか、夫をどうしたいのか、そもそも夫を愛しているのかそれとも・・・といったあたりの大切な描写がきちんと行われずに、ブレブレのキャラになっておりました。あーあ。
こんな二人を軸にしたドラマなので、正直「どうでもいい」と思ってしまうのです。二人の間の愛だか何だかの感情が、まったく伝わって来ないのです。
力の抜け過ぎた大野智とは対照的に、鈴木亮平がもう血管切れそうなほどの力の入れよう。 更には國村準さんなんか、本作のトーンとは相容れない見事なシリアス演技。なんだかもったいない気がいたしました。
クライマックス?の大野と石原の愁嘆場って、日本映画によくある「この状況で、そこまでゆっくり長々と話しますか?」って場面。そんなことやってたら、周囲の連中が襲って来るだろうにという疑問を封じ込めながら、感動の(?)長芝居が続くのです。あーあ、やれやれ。
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