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2017年7月20日 (木)

「セールスマン」:人間の謎と複雑さ

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映画『セールスマン』は、アスガー・ファルハディ監督らしく骨太な心理サスペンスにして、深い人間ドラマ。この人、常に映画の出来が「上等」です。 イラン社会を想像しながら観るべき部分もないではないですが、全体的にはむしろ普遍的な問題を描く作品となっています。

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アーサー・ミラーの『セールスマンの死』が劇中でも演じられ、それを演じる役者夫婦が主人公なので『セールスマン』というタイトルなのでしょうが、これ普通の意味でもメタファー的意味合いにおいてもピンと来ません(もちろんセールスマンは一切出て来ません)。へんなの。

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まあ、いつもの例に漏れず、とりあえず謎は解かれるものの、結局はもやもやと複雑な感懐を抱かせる作品です。人間って・・・男と女の違い、個人個人の違い・・・謎だらけで複雑なのです。自分自身のことだって、みんなわかっていないのです。 ま、そういうことを常に描いて、国際的な評価を得ている監督です。

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そして現代を映し出すテーマは、「復讐は互いを傷つけ、何もよい物を生み出さない」ということ。終幕で示される復讐の無意味さは、観る者の深い所にまとわりつきます。それは「目には目を」の社会への訴えかけとなっています。それを示した所に、ファルハディの姿勢を感じ取ることが出来る作品だと思います。

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