「海底47m」:脚本も演出も力不足
映画『海底47m』ってタイトル、最初は「うぷぷ。しょぼっ!」と思ってしまうのですが、考えてみれば14-15階建てのビルぐらいの深さですし、ケージの外にはサメがいるし、台詞によって立派に潜水病になるぐらいの水深だだということもわかりますので、逆に「油断させといて、リアルに怖い」タイトルだぜってことになるのです。原題も同様の“47 Meters Down”。
大江戸はこの手のワン・アイディアをふくらませてリアルな恐怖を描く、低予算の「遭難映画」って結構好きでして、昨年の『ロスト・バケーション』だとか、その前の『オープン・ウォーター』やら『フローズン』やら(もっと格上だけど、ダニー・ボイルの『127時間』もその仲間かな)、・・・みんなかなり面白いんですよね。VFXやスターに頼らない頭脳勝負の映画ですもんね。そういえば、この手の映画って、夏後半の公開が多いですね。ビッグ・バジェットのA級大作が疲れてきた頃に、箸休め的に出て来る感じ。
でも、この『海底47m』はダメでした。役者の安っぽさは他の作品も似たり寄ったりでしょうけれど、脚本と演出がかなり物足りません。他の作品だと、「一難去って、また一難」的に次々と工夫を凝らした艱難辛苦が襲ってくるのですが、本作では最初から最後まで「サメがいます」「空気が減っていきます」「急浮上すると潜水病の危険があります」ってだけですし、それらが実に常識的に展開するだけなので、先が見えない意外性に欠けています。まあ、最後に一つ「仕掛け」を用意してありますが、それはちょっと「反則気味」ですしねえ・・・。
また、肝腎のサメの恐ろしさの描き方も力不足。『ジョーズ』とは申しませんが、『ロスト・バケーション』あたりにも随分と差をつけられておりました。それにあの二人、あれだけアタックされていて、何でほぼ無傷なの?? 信じられません。
(以降ネタバレあり) 終盤に、ケージの吊げ用ワイヤーをもう一本の方にチェンジしたのに、そのワイヤーも切れちゃうっていう「脚本家、どんだけ頭悪いんだ」って展開には、笑いました。普通恥ずかしくて、そんなこと書けませんです。
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