「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』」:やはり岩井版は偉大
映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』、大江戸も岩井俊二ファンのはしくれとして、伝説のドラマ版は大好きです。あの映画では奥菜恵とか山崎裕太とかが小学生で、実にコドモコドモしていたのですが、今回は中学生の設定なので(しかもアニメなので)、別物として受け取りました。そもそも大雑把な筋以外は忘れちゃってますし。
川村元気プロデューサーが『君の名は。』の約1年後に放つタイム・リピートもの、かつ少年少女の淡い恋を描いたSFアニメーションなので、誰もが『君の名は。』と比較したくなるハンディキャップを背負った作品です。で、奥ゆかしいと言うか何と言うか、決して『君の名は。』を超えたりしない作品でありました。質的にも、興行的にも。
この『打ち上げ花火~』ってのは、とても小さな話なんですよ。隕石が落ちてきたりはしないんです。その中で、二度と帰らない子供の時間への郷愁みたいなものがやるせなく立ち上がってくるのが、何とも最高な岩井俊二版だったのです。でも今回の作品は、(45分のドラマの倍に当たる)90分を費やしている割には、「えっ?それだけですかい??」ってなエンディングでした。観客の間にも、ちょっと肩透かし感が漂っていたような・・・。
少女を魅力的に見せようとする努力はわかるのですが、まあ実写版の奥菜恵はある種の「奇蹟」でしたからねえ・・・。
実写版の予告編動画とかフッテージとかを探して見てみたのですが、本作ってオマージュというか、かなり実写版に忠実な絵作りをしていたりするのですね。そういった「遠慮」のおかげで、少し創造物としての伸びやかさが不足してしまったんじゃないかなあ。
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