「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」:ゲスの極み男

映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』は、マクドナルドを真の意味で創業したマクドナルド兄弟とシニカルな意味での「創業者(ファウンダー)」であるレイ・クロックの確執を描いた「真実に基づく」物語。それにしても、よく映画化できましたね、これ。マクドナルド社への法務的な対応などが、かなり大変だったのではないでしょうか? それぐらいレイ・クロックのえげつなさ、モラルの欠如をはっきり描いちゃってます。日本だと、こういう作品を作るのは、まず無理でしょうね。

小生は大学時代ほぼ4年近くマクドナルドでアルバイトをしていたので、’50年代のマクドナルドを見ての感慨もひとしお。ああ、ケチャップやマスタードのディスペンサーって、ああいう出方だったよねとか、紙のハットって昔からああだったんだあとか、カウンター内や厨房の配置って、確かにあれと似ていたとか、色々楽しめました。あの鉄板で手のひらヤケドして、大変だったし。ゴールデン・アーチはまだ二重に(つまり「M」の字に)なっていなかったんですねえ。

それにしても、こんなルール無視のアコギな人がマクドナルドを大きくしただなんてことは、クルー(従業員)教育では一切教わりませんでしたよ(←あたりまえ)。世間的には、アメリカン資本主義に基づくビジネス重視のレイ・クロックと、発明家にしてこだわりを見せるマクドナルド兄弟のどちらにも良い面、悪い面があるみたいに言う人もいるようですが、小生は100%マクドナルド兄弟の味方です。世の中、拡大拡大で良いことなんて、あまりありません(なのに、イケイケドンドンの人たちって多いですからねえ)。

レイの奥さんをローラ・ダーン(この人、昔からオバサン顔でしたが、ようやく顔に年齢が追いついた感じです)が演じてますが、この糟糠の妻の捨て方もひどいもんです。そんなゲスの極み男を、マイケル・キートンが「適役」として演じています。
てなわけで、腹が立つ作品ではありましたが、最初から最後まで目を離せない面白さなのでありました。
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» 『ファウンダー』を角川シネマ有楽町で観て、勧善懲悪が好きなんだよ★★★ [ふじき78の死屍累々映画日記・第二章]
▲「爆誕!」っぽいポーズ。
五つ星評価で【★★★スカっとしない】
ちゃんと最後まで息をも付かせぬ展開があるのは立派。
でも、最初の頃からラストまで、主人公を好きになれない映画ってキツい。
そういう役をちゃんとイヤミったらしく演じ切る
マイケル・キートンのしたたかに老けた感じがほんま適役。
基本、悪い顔なんだよね。人を殺したり裏切ったりしそうな顔。
その真逆の好かれる顔立...... [続きを読む]
受信: 2017年8月15日 (火) 23時46分
» 映画「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」 [エンターテイメント日誌 ]
評価:A 原題はThe Founder、創立者のことである。ファストフード「マク [続きを読む]
受信: 2017年8月16日 (水) 08時41分
» ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ [象のロケット]
1954年アメリカ。 52歳の男レイ・クロックは、シェイクミキサーのセールスマン。 ある日、ディック&マック兄弟が経営するハンバーガー店“マクドナルド”から、8台ものオーダーが入る。 彼らの合理的な販売システムに勝機を見出したレイは、兄弟と契約を交わしフランチャイズ化を成功させていく…。 世界最強のハンバーガー帝国創業者(ファウンダー)の物語。... [続きを読む]
受信: 2017年8月16日 (水) 14時33分
» [映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』を観た] [『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭]
☆・・・作品としては面白かった。 角川シネマは満席で、私、最前列に滑り込み、帰りには、次回上映の「SOLD OUT」が告知されているほどだった。 マクドナルドの誕生にまつわる「創業者」の物語。 創業者でない「創業者」であり、「」付きなのである。 ビジネス啓蒙レ...... [続きを読む]
受信: 2017年8月16日 (水) 16時47分
» 『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』 マクドナルドのセールスポイント [映画批評的妄想覚え書き/日々是口実]
監督は『ウォルト・ディズニーの約束』などのジョン・リー・ハンコック。
マクドナルドのファウンダー(創業者)についての実話をもとにした物語。
『バードマン』『スポットライト 世紀のスクープ』などのマイケル・キートンの主演作。
1954年、レイ・クロック(マイケル・キートン)はシェイクミキサーのセールスマンとして中西部を回っていた。営業先で相手にされることもないむなしい...... [続きを読む]
受信: 2017年8月16日 (水) 18時28分
» ファウンダー [映画的・絵画的・音楽的]
『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』を渋谷シネパレスで見ました。
(1)予告編を見て面白そうだと思い映画館に行ってきました。
本作(注1)の冒頭では、「真実に基づく物語」(Based on a true story)との字幕。
時代は1954年。場所は、ミズーリ-州セン...... [続きを読む]
受信: 2017年8月16日 (水) 18時29分
» ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ★★★★ [パピとママ映画のblog]
「バードマン」のマイケル・キートンが世界最大級のファストフード・チェーン“マクドナルド”の“創業者”レイ・クロックを演じる伝記ドラマ。マクドナルド兄弟が始めた片田舎のバーガー・ショップを世界的巨大企業へと急成長させたビジネスマン、レイを主人公に、成功のため...... [続きを読む]
受信: 2017年8月16日 (水) 18時40分
» ショートレビュー「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ・・・・・評価額1650円」 [ノラネコの呑んで観るシネマ]
なぜ彼は、1個15セントのハンバーガーで帝国を築くことが出来たのか?
異色のアメリカンドリームの展開に、目が離せない。
「マクドナルド」という店名が創業者兄弟の名前なのはよく知られているが、これは兄弟が作り上げた斬新なシステムを持つハンバーガー店を、年間15億食を売り上げる世界最大のファーストフードチェーンに育て上げた、もう一人の"創業者(ファウンダー)"レイ・クロックの物語。
名...... [続きを読む]
受信: 2017年8月16日 (水) 19時16分
» ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ / The Founder [勝手に映画評]
実話に基づく作品。世界最大のハンバーガーチェーン「マクドナルド」を、レイ・クロックがどの様にして作り上げていったのかを描いている。
事前にある程度知ってはいたけど、レイ、えげつない。サイテー。でもまぁ、ああ言う人物でなかったら、世界一のハンバーガーチェ...... [続きを読む]
受信: 2017年8月16日 (水) 19時26分
» ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ [ネタバレ映画館]
関東のマックか?関西のマクドか?金にモノ言わせるなら“アクド”だな・・・ [続きを読む]
受信: 2017年8月17日 (木) 21時52分
» 映画:ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ The Founder きれいごとだけでは済まない、急成長 McDonald’s の影にあった確執、はビリビリひりつくビジネスの闘い。 [日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~]
当ブログにとり今、マックの何に関心があるかと即答で、オリンピック・スポンサー。
つい2ヶ月前、41年という長期にわたったスポンサードを中止。
ひとつの時代が終わった、を実感した。
とはいえ、41年間も世界最高のコンテンツを抑え君臨し続けた体力は凄い。
「食」というカテゴリーをある意味、支配してきたのだ!
この巨大チェーンの、まずはアメリカ制覇、を描くのがこの映画。
(そして世界制覇に至る)
場所は、カリフォルニア州南部、ハンバーガー店のオーナー、マクドナ... [続きを読む]
受信: 2017年8月24日 (木) 01時40分
コメント
「ファウンダー」はブログの感想で「ちょっとマクドナルドに寄りたくなった」みたいな感想を書いてる所も多く、「創業者があんなんなら二度とマクドナルドなんていかない」とか憤ってる人もいないので、結果的にはマクドナルドのいい宣伝になってるのではないでしょうか。「ダーク」だとしても、昔の話ですと言っておけばいいのだし。
投稿: ふじき78 | 2017年8月15日 (火) 23時44分
ふじきさん、うーん、そんなもんなんでしょうね。確かに、企業の裏側は、消費者にはあまり関係ないことですし。
絵的にはハンバーガー食べたくなる感じでしたもんね。
投稿: 大江戸時夫 | 2017年8月16日 (水) 09時39分
こんばんわ!
ローラ・ダーンといえば、
最初に印象に残ったのが『ジュラシックパーク』でした。
その当時が調べてみると26歳!
たしかに老け顔・・・
あの子役たちの母親かと思えるくらいでしたよね。
投稿: kossy | 2017年8月17日 (木) 21時59分
そうです、kossyさん。
23歳の時の『ワイルド・アット・ハート』だって、若々しさが無くてボディコンも似合わない、異形のヒロインでありました。
投稿: 大江戸時夫 | 2017年8月17日 (木) 22時41分