「海辺の生と死」:じーーーっくり撮りすぎでは?
映画『海辺の生と死』は、奄美の離島を舞台にした戦闘シーンのほとんどない戦争映画(米軍機からの機銃掃射のシーンが一つだけあります)。こじんまりとしながらも2時間35分の長尺です。
ただ、物語はいたってシンプル。長くなった理由は、一つ一つのカットをじーーーっくりと撮っているから。そこまでじーーーっくりと撮らなくてもいいなじゃないの?ってぐらいじーーーっくりと撮っています。
ロングショットが多いのです。そして長回しも多いのです。だからロングショットでの長回しも多いのですが、その効果がさほど出ていないように思えました。芝居の持続により、役者の全身から立ち上るリアルな切迫感や情動が、(例えば相米の長回しのようには)感じられなかったのです。この手法を生かすには、満島ひかりの場合(演技が)うますぎたのかも知れません。あ、でも永山絢斗の芝居は今回もうまいとは言えませんが・・・。
芝居と言えば、子供たちの芝居(発声)も学芸会みたいで、もう少し何とかならなかったものかと思ってしまいました。
(以降少々ネタバレあり) ラストは、やけにあっさりしておりました。まあ、「緊張→弛緩:意外性とそこに漂う虚しさ」という構図はわかりますが、何だかやりようによっては、もっとこの作品を高められたような気がしてなりませんでした。特に最後の最後はあまりに軽くて、この2時間35分を支え切れていなかったように思えるのです。
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