「少女ファニーと運命の旅」:子供たちの逃亡サスペンス
映画『少女ファニーと運命の旅』は、気がついたら公開されていましたが、いやー、小粒でもピリッとした山椒のような佳品でした。
第二次大戦下のフランスで、ドイツ軍の手を逃れようと旅する子どもたちのサスペンス。心配で心配で、ハラハラしてしまうサスペンスです。これ、ジャック・ドワイヨンの娘(ローラ・ドワイヨン)が監督したんですってね。そして、実話に基づいていて、最後にまだ存命中のファニーが出て来て驚きました。
いろんな年齢構成の女の子&男の子たちが山を越えて行くあたりは『サウンド・オブ・ミュージック』を、列車を使った逃亡サスペンスとしては『ジュリア』を連想したもりしました。 でも本作を一番よく表しているのは、広告に出ていた山田洋次監督の感想です=「ぼくは子供たちと共に旅をした。とても恐かった、お腹が空いた、最後にホッとした。戦争は悪だ。」。まさに、そういう映画なのです。
13歳の少女ファニーが、子供たち9人のリーダーとして、気丈に統率していくのですが、いやー、大したものです。命がけの逃走の全責任が小さい肩にのしかかっている中、言動の一つ一つが素晴らしいのです。
子供たちの演技が見事。そして、無邪気にはしゃぐ場面も素敵。 ファニーの末妹の目が大きい子なんて、小さいのに大した役者だなあと思ったら、なんと『92歳のパリジェンヌ』に出ていた子だったのですね。なんか見たことあると思った。
端正な映画ではありますが、脚本のせいか所々「ん?なんでそうなるの?」ってなことがありました。ちょっと描写が舌足らずだったりもするのです。そこは残念。
(以降ネタバレあり) ラストでスイス国境へと坂道を走る子供たちの自由への躍動感、力感、歓喜は圧巻でした。これぞ、映画。 ドイツの国境兵も、あれはわざと外してくれたんですよね。大江戸は、そう思いたいなあ。
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