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2017年9月25日 (月)

「戦争のはらわた」:頬に縦筋のいい男

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新宿のシネマカリテでリバイバル公開中の『戦争のはらわた』を観ました。サム・ペキンパー唯一の戦争映画も、公開40周年ですかー。小生も大昔に名画座で観てから、久々の鑑賞であります。それにしても、公開時もコケたし、よくこんな作品をリバイバルしましたよね(まあ、単館ですし、今は当時のヒット作を再公開したって当たらない時代ですけどね)。

原題は“Cross of Iron”、ナチスの鉄十字章のことです。てなわけで第二次大戦におけるドイツ軍(ロシア軍と戦闘を繰り広げている)を描いた作品です。ドイツ人がみんな英語しゃべってます(まあ、娯楽映画のお約束として)。 『戦争のはらわた』っていう邦題は、ちょっとセンセーショナル過ぎますよね。内容はほとんど残酷だったりグロかったりはしません。まあ、「はらわた」を比喩的に使っているわけですが、こんな邦題は『ハクソー・リッジ』にこそふさわしいと思う今日この頃です。

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ハイスピード撮影(スローモーション)と、断続的に二つ以上の場所のカットを交錯させる技を組み合わせたペキンパーならではの「死の舞踏」が、ここでも見られます(今、「北京パー」と誤変換されて、ぶっとびました)。ただ『ワイルド・バンチ』みたいな圧倒的凄さを期待すると、裏切られると思います。割と地味です。

でもこの作品のキモは、むしろ男の血が騒ぐ「名誉欲と保身だけの卑怯で悪辣なプロシア貴族」(マクシミリアン・シェル)と、「強きをくじき、弱きを助ける」正義のヒーロー(ジェームズ・コバーン)との対立と対決であります。いやー、ジェームズ・コバーンいいですねー。クリント・イーストウッド、高橋一生と並ぶ「頬に縦筋の入ったいい男」だと思います。今はなかなかいないです、こういう人。ニヒルでクールで権力に反抗して、仲間や弱者への愛情があって、仕事は最上級にしっかりやるプロフェッショナル。

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対するマクシミリアン・シェルの卑小さも、何とも言えません。見事な(情けない)悪役です。

(以降少々ネタバレあり) ただラストがどうにも「気分爽快」とはいきません。まあ戦争映画ですから、気分爽快になってもいけないでしょうけれど、妙にモヤモヤした隔靴掻痒感は否めませんでした。高倉健さんの任侠映画じゃないんだから、しょうがないんですけどね。

*関係ないけど、シネマカリテさん、いつ行っても冷房が寒すぎます~! スーツ着て、ネクタイ締めてても寒くて、途中から新聞をひざかけに、ハンカチをストール代わりにしても風邪ひきそうでした。同じ武蔵野興行でも武蔵野館の方ではそんなことないんですけど、ここは1年中(特に夏場)寒いんです。支配人さんが暑がりなんでしょうか?

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