「ラスト・レシピ 麒麟の舌の記憶」:おいしそうな娯楽作
映画『ラスト・レシピ 麒麟の舌の記憶』は、とても良くできた娯楽作。なんだかネットでは「ニノの主演作大コケ」的に言われてましたが、そこまでひどい成績でもありません。現に今日の新宿ピカデリーは、満席でしたし。最近のネット記事における、何かと言うと「大コケ」にしちゃう風潮ってどうよ!と多少の憤りを感じます。アタマ(公開後2~3日)でドっと集客できないともうダメってのは、まさにシネコンの悪い部分が出てますね。
現代と満州占領時代(1930年代)を行き来する構成。徐々に謎が明らかになり、終盤に全てがつながる巧みさ。そして安定感たっぷりに、それらをさばく滝田洋二郎演出。オーセンティックな娯楽映画としてのクォリティは、文句のないものだと思いますよ。実際2時間6分の間、ダレ場はありませんでした。
とにかく作品のキモとなる料理の数々が実においしそうに撮られていて、それだけで合格点はあげられます。でも、本作はところどころに満州をはじめとする占領(植民地)政策や、人種民族の問題への問い掛けや反省があって、更に深みがましているのです。もちろんもう一方では、心を閉ざした頑迷な人間(二宮)の再生と成長の物語にもなっているのですが。
役者の中では、宮﨑あおいがダントツで素晴らしかったです。こういうまじめで慈愛深い役に説得力を与えられるのって、彼女のほかに何人いるでしょうか。やっぱりいいなあ、あおいちゃん。
それにしても、料理の数々がおいしそうでした! 満漢全席の芸術的な料理よりも、むしろ炒飯やビーフカツレツの方がおいしそうで、食べたくてしょうがありませんでした。
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