「泥棒役者」:高畑充希以外は失敗
映画『泥棒役者』は、『小野寺の弟・小野寺の姉』の脚本・監督と言うよりは、あの『とと姉ちゃん』の脚本家である西田征史の脚本・監督第2作目。この人らしい達者な脚本で、ウェルメイドなハリウッド調コメディを目指したのだと思いますが、うーん、残念ながらうまくいきませんでしたねー。
本作はもともと西田さんが2006年に書き上げて、演出も行った舞台劇をもとにしているのだそうです。やはりそうでしたかー。観ながら、これ舞台にした方がいいんじゃね?と思っていたのです。 なので、実際映画になったものを観ると、テンポの遅さと役者たちの力量の無さが目立つんですよねー。日本映画で、こういうホンの巧さ頼みの作品って珍しいだけに、本来支持したいところなのですが、誠に残念です。
このスタイルは、どうしてもルビッチとかワイルダーとかが比較対象になってしまうので、見劣りしてしまいます。シチュエーションや言葉をうまく使った美点もいくつかあるのですが、強引過ぎたり、ダメな所もありまして・・・。
役者の物足りなさは、こういう演劇的な芝居に合わないってところ。丸山隆平にしても、石橋杏奈にしても、ナチュラル過ぎて大胆に作り込めていません。一方で舞台はおまかせの市村正親は、芝居が舞台そのものになってしまっていて、スクリーンで観るとちょっと辟易するところがありました。
だけど、相変わらず高畑充希だけはムチャクチャ巧いです。この世界での存在の仕方に関して、一人だけ「大正解」って感じ。この世代ではやはり最強無敵です、高畑。概して「助演」の方がいいです、高畑。
最後の方の宮川大輔の扱いなんかも、ぬるいですよねー。ここを上手に処理できるかどうかで作品の良し悪しが決まるってもんですのに、何とも残念であります。
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