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2017年12月11日 (月)

「エンドレス・ポエトリー」:詩人の血は紫

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映画『エンドレス・ポエトリー』は、あのアレハンドル・ホドロフスキー監督による自伝的作品であり、前作『リアリティのダンス』の続編です。相変わらずというか、ますますパワフルかつ唯美主義的に「詩人の人生」をたどっていきます。撮影監督がクリストファー・ドイルに代わったということもあり、ますますもって魅惑の色彩で迫ります。特にあの紫はいったい何なんでしょう? かつて映画でめにしたことのないような紫がヴィヴィッドに輝いています。

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本当にこの作品の映像と色彩は美しく見事です。あの紫、あの赤、あの死者(ガイコツ)のパレード、こんなファンタジー・ワールドの映像を見せられたら、どうしたってフェリーニや寺山修司を思い出すってもんです。異形の者や道化師(サーカス)への愛着と芸術家への深い共感が共通していますから。そして自由過ぎる「詩人の血」が、作品のどこを切っても流れているのです。

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これで88歳(!)って言うんだから、まったくどうなっちゃてるんでしょうね、このホドロフスキーって人は! 若いです。枯れません。 人生のオブセッションの数々を、芸術の中で昇華させているのですね。まさに理想的な創作者です。今、こういうイメージを見せてくれる映像作家って、なかなかいませんもん。

 

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ホドロフスキーには5人の息子がいて、本作の父親役を長男が、そしてホドロフスキー役を5男が演じているんだそうです。そこらへん、もはや家族愛なんだか倒錯なんだかよくわかりません。でも「最強の88歳」ってことは確かでしょう。 この調子だと、マノエル・ド・オリヴェイラ監督(享年106)の最長不倒記録を破る最右翼かも知れません。

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» ショートレビュー「エンドレス・ポエトリー・・・・・評価額1650円」 [ノラネコの呑んで観るシネマ]
行く道を照らすのは誰? 前作「リアリティのダンス」のラストからはじまる、アレハンドロ・ホドロフスキーの自分語り第二章。 12歳までの幼少期を過ごした、故郷トコピージャから首都サンチアゴへ。 サディスティックなまでに抑圧的な父・ハイメに支配され、なぜか全ての台詞がオペラ調の歌唱になっている母・サラに溺愛される日々に葛藤を抱え、何者かになろうと抗うアレハンドロの極彩色の思春期。 やが...... [続きを読む]

受信: 2017年12月14日 (木) 19時59分

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