「ビジランテ」:ヘヴィーな力作だが、惜しい
映画『ビジランテ』のタイトルを聞いて連想したのは、まず「ビオランテ」。はい、『ゴジラvsビオランテ』のあいつです。そして次に「ビジネスランチ」。 ってわけで調べちゃいましたよ。「vigilante=自警団(員)」のことなんですねー。うーん、知りませんでした。昨年の『ヒメアノ~ル』といい、こいつといい、わけのわからないカタカナ語タイトルは、闇の深いヘヴィーな作品になるんですかね?
かなりの力作です。『ツインピークス』じゃないけど、地方の暗部をえぐり出していきます。あくまでもリアル・ベースで。そこに、社会派的な視点で外国人排斥の動きを不気味なトーンで描く部分もあり、そこらが直截的には「ビジランテ」ってことなのでしょう(まあ、そこだけじゃなくて、多面的な意味を込めたタイトルなのでしょうけれど)。それにしてもタイトルになっている割には、このパートは本筋とは関係ありません。そこらへんにちょっと違和感を禁じ得ませんでしたね。
不満はまだあって、長男の大森南朋がどういう人間なのか、一貫性も何もなくてよくわかりません。その行動があまりにもあり得なくて、??です。いくらクスリで頭をやられちゃったとしても、わかのわからん奴というムードを体現しただけみたいな役になっちゃってました。それにしても顔が1ミリも似てないな、この三兄弟(腹違いってことなのかしらん?)。
これ脚本も入江悠監督が手がけてるんですけど、脚本家がもう一人入った方が弱点が消えて、あるい客観的な視点が生まれて、もう一段階優れた作品になったんじゃないでしょうか。惜しいんです。ラストなんかも、「ここで終わりですかい?」って感じで、惜しいなあ。この後もう一つ、次男(鈴木浩介)の闇を出せればなあ・・・。
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