「ピンカートンに会いにいく」:脚本の巧さと今後への期待
映画『ピンカートンに会いにいく』は、『東京ウィンドオーケストラ』の坂下雄一郎監督(脚本も)の新作(この2作品の間の『エキストランド』は、予告編を見て面白そうと思ったものの、気づかぬうちに公開されて、知らないうちに終わっていました)。だもんで、『東京ウィンドオーケストラ』に出てた役者さんたちがあちらこちらに出て来ます。それが妙に気になるのですが、考えてみればそういう映画体験って、珍しいですよね。普通の役者さんがあの作品にもこの作品にも出ていても、珍しくもないので気にしないのですが、この人たちってよそではお見かけしないもんですから・・・。
坂下監督はどの作品も自分で書いた映画オリジナル脚本というのが今どき珍しいと、各方面から注目されているようですね。このホンも結構良く書けております。ファースト・シーンとラスト・シーンの符合とか、時空を飛び越えて過去の自分と現在の自分が対峙するところとか。ダイアローグもなかなか良いですよ。で、特筆すべきは、脚本と監督を同じ人がやるとどうしても(切れなくて)長くなりがちなんですけど、坂下さんの場合はあくまでもコンパクトです。本作が86分、『東京ウィンドオーケストラ』は75分でしたもん。
主人公のアラフォー女が、ある場面では自分たちのことを「40歳近い」って言ってるくせに、レコード会社の松本に対しては「30歳越えた私たち」と何度も言ってます。それって見栄ですよね。・・・とわからせてくれるあたりが、この脚本の巧さなのです。 辟易するほどワガママで見栄っ張りでけんかっ早くて欠点だらけのしょーもない主人公なのですが、彼女も元メンバーの女性たちも、生き生きと描かれて(描き分けられて)います。レコード会社の松本も(メガネで細身で、なんか監督の分身みたいですけど)、悪くないです。
クライマックスのライブ場面では、今の彼女たちも20年前の彼女たちも、時空を超えて(同じ衣装で)歌います&踊ります。 今の彼女たち、かなりキツイですけど、頑張りました。振り付けも意外にキレてます。あっぱれ。
なんか、ちょっといい映画に仕上がりました。面白かったです。この監督に大きな予算と一流の役者を預けたら、どんな事をやってくれるのか楽しみです。観てみたいです!
それにしてもなんで「ピンカートン」なんていうグループ名なんでしょうねえ。由来が知りたいです。
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