「伊藤くん A to E」:岡田将生の好感度ガタ落ち路線
映画『伊藤くん A to E』はもう出だし早々から岡田将生演じる伊藤くんのセルフィッシュな痛男の毒気に当てられちゃう126分。あー、やだ。気分悪い。とにかくこのドイヒー男の造形が、そして彼に振り回される5人の女たちの造形がすべてであり、そういった意味ではよく出来ているのですが、全体的な仕上がりとしてはそこそこの作品でした。それにしても岡田将生って、こういう嫌われ役が板についてますねえ。今後この路線でいくのかしらん? 好感度ガタ落ちだと思うんですけど。
一方、5人の女=佐々木希、志田未来、夏帆、池田エライザ、そして木村文乃 なんですけど、こちらの方々も結構ダメな方々で、それぞれにイラっとさせてくれたりもします。だからといって「割れ鍋に綴じ蓋」とはならず、あくまでも不毛な人間関係なんです。もちろんその根源は伊藤くんなんですけど、彼女らにだって何割かの原因があったりもする、そこらへんをちゃんとシビアに描いているのはいいですね。
まあ、何と言っても廣木隆一監督ですから、そこらのケアはされています。イタイ人々を痛いままに描くということ。
てなわけで、まずまず及第の娯楽作品に仕上がってはおりましたが、まあこんなもんかなという物足りなさも。「傷つきたくない」という現代の病理(まあ、昔っから誰だって傷つきたくなんかないわけですけれど)を正面切って描いたことにおいては、とてもタイムリーな作品と言えるかもしれません。そこまで過剰に傷つくのをこわがって、これからの人生どうすんの?(年取ってからのハシカは、死ぬこともあるくらい重くなりますよ)。
夏帆と池田エライザがルームメイトを演じているのですが、映画好きの友人が「『みんな!エスパーだよ!』の新旧ヒロインだ」と指摘しておりました。なるほど。 で、大江戸の結論としては「やっぱり夏帆はメガネが似合う」です(なんのこっちゃ)。ちなみに夏帆ちゃんの公式サイトのトップ画面はいまだに15歳ごろのメガネ姿のお写真です。なぜなんだろう?
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