「マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年」:チャーミングなマノロさん
映画『マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年』は、近年急増したファッション・ドキュメンタリー映画の中でも、「靴のデザイナー」を扱ったということで珍しい一品。クリスチャン・ルブタン、セルジオ・ロッシと並んで「世界三大ハイヒール・ブランド」と言われるマノロ・ブラニクのマノロさんをフィーチャーしたドキュメンタリーです。
若い頃は細身のイケメンだったことも写真などで紹介されるマノロさん。現在は貫禄のあるお姿ですが、靴のデザインから、工房での原型作りから、デパートや書店でのサイン会から、精力的に活動している様子です。何より婦人靴作りが好きで好きでしょうがないってことが、よーくわかります。そして丸メガネにボウタイにスーツというクラシカルな格好が、その色彩センスも含めて、実にチャーミングな紳士です(オネエ入ってますけど)。
アナ・ウィンター、ジョン・ガリアーノ、リアーナをはじめ、ファッション界の人々もみんなマノロが大好き。靴も本人も愛されていて、実に幸せな人です。 ところがこのおじさん、センシティヴなアーティストなので、他人と暮らすなんて耐えられないと公言しております。まあ、そんなもんなんでしょうね。
この映画は愛すべきマノロさんの人間像に焦点を当てていて、彼の作品=靴については通り一遍にしか描かれません。映画作家の興味はそこにはなかったのでしょうね。ただ作品あっての彼ですので、そこが(この映画の魅力ということを考えても)ちょっと残念なところです。 それにしても見事な豪邸にお住まいでございます(ドリス・ヴァン・ノッテンもそうでしたけどね)。
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